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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
六節:新たなる《ゴックローク》
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更に自分を通して、一体何を見ていたかも聞けずじまいに終わってしまった。
「……」
次から次へと変わる声色、感情、雰囲気にリズベットはついて行けずドア前で硬直したまま、ガトウが去っていった方向を見やっている。
やがて凍結状態から回復すると、口の端をひん曲げて表情を歪めた。
「何だったのよアイツ……よし! 次来たら絶対に聞きだしてやる―――――ん?」
そのとき不意に、リズベットの脳裏へ何かがよぎる。
それは光のようであり、その光は何かに繋がっていた。
その何か、人の形をしたそれが光が強まるのと反比例し、一瞬強く鮮明に浮かんだ瞬間……脳裏からそれは消えたが、その不可解な光景にリズベットはまたも呆然と立ち尽くす。
「……そういえば………何だったのかしら、ガトウのあの変な光」
だが呆然としていたのは光景の曖昧さにではなく、気を失う前に見たその
不
(
・
)
可
(
・
)
思
(
・
)
議
(
・
)
な
(
・
)
光
(
・
)
源
(
・
)
と偶然にも一致したからだったらしい。
詳しくは分からぬその情景を再度思い浮かべようとはするのだが、先程脳裏に走った幻像も僅かに記憶されている光も、靄がかかったが如く思い出しきれない。
どうにもならないもどかしさを抱えるも、職人魂といったところか仕事を即座に思いだし、まずは溜まっているオーダーを消化すべくとしたか、一度は消した炉内の火を再度赤々と燃えあがらせる。
武器種や鎧種を入念に確認し、見合ったインゴットを選んで炉内へ抛り込み、ガトウの時と同じくやっとこを使い取り出して、金床の上に置いて叩きはじめる。
武器が数種類出来上がる頃には……リズベットの頭からその光景は消え去っていた。
その時と、ほぼ同時刻
少し離れた、森林地帯近くで……ガトウは顔をゆがめていた。
「そうだ、アイツは違う……アイツは“彼女”じゃあ無い……“アイツ”じゃあ、無い」
額に手を当て頭を振う彼の様子は、明らかに普段の気だるいモノなどと全く違う。
「お前らは此処に、いる……アイツはただアレだ、近しいだけだ……」
暫く武器を三つほど縦掛け、それに声を掛ける様にして自問自答していたガトウは―――漸く落ち着いたか武器をストレージへしまった。
「…………いや……だがそれでも似て、いやがる……アイツは、とても。……せめて何も進まなけりゃあ……」
そこで独り言は唐突に途切れ、またもや居眠りを始めたのか、突っ立ったまま動かなくなった。
そのままざっと数分は過ぎ、誰かが通り掛るまでは動かないのじゃあ無かろうかと、そう思える位静かに佇
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