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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
六節:新たなる《ゴックローク》
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リズベットは座っていた。
鍛冶屋リズベットでは無く、現実世界の彼女として学校の机を前に椅子へ座り、黒板の前に立つ教師の言葉を聞いていた。
午後一番の授業だからか彼女は眠そうに目をこすり、うとうと船を濃くさまは今にも机に突っ伏してしまいそうに思える。
それだけは如何にか我慢したらしいがとうとう静かに寝息を立ててしまい、そんな彼女に教師が気付いたか近寄っていく。
何時もの事なのか若い男性教師は彼女の肩に手を置き、彼女もまた馴染のある低めの声で肩を許すると優しい声を掛け―――――
「……起きろ、鍛冶屋」
「っ! ……へ? えっ、あれ? ……?」
「……俺が言えた事じゃあない、が……寝てんのかまだ」
「いや、そんなんじゃなくて……えっと?」
彼女が目を覚ましたのは学校の教室では無く、真鍮と謎の金属で造られた部屋の中だった。
不用心にも扉は開けられたままで、明かりは天井のランプ一つだけである。
一体どういう事なのか理解するのにたっぷり時間を要し―――視界にの端に移る二つの細い枠をじっくりと眺め、漸くリズベットは自分の現在地と置かれている状況を理解した。
「そっか、ソードアート・オンラインの中だったっけ」
「……ボケたか?」
「うっさい! 誰だってトンでも無いダメージを受ければ多かれ少なかれショックで判断が……ああぁあぁっ!?」
「……うおっ……」
そこで彼女は何が起こっていたかを思い出し弾かれた様に立ち上がる。
ガトウの驚いた声―――なのであろうイントネーションでの呟きを無視し、慌てながらも自身のHPバーの方へと視線を向けた。
そこには本当に一ドットだけではあるが、赤く表示されたHPバーが残っている。死んだと本当に恐怖こそしたが、確かに彼女の命は繋がっていた。
その現象をポーションのお陰だと思いなおそうとしたが、そこで大きな違和感が存在している事に、リズベットは眉をしかめた。
ポーションは一気に体力が回復するのではなく、時間をかけて徐々に徐々に体力が回復していくというもどかしい代物で、その間に大ダメージを受けてしまうと―――まずそれ程のダメージ自体有り得ないが―――回復も無駄になりHPを喰らい尽くされてしまう危険もある。
ならば何故自分が生きているのか……
(でも……私は今此処にいるし、HPだって…………あっ?)
―――と、ポーチを探っている間に、秘密兵器として忍ばせていた『クリスタライト・ポーション』というアイテムが無くなっている事に気が付いた。
そのアイテムはイベントクエスト限定品で、本当に偶然リズベットの手に渡ったアイテムであり、効果は『瞬時にHPを大回復させる』
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