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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
五節:朧気に映る “刃”
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 HPは全開値から残り三割を切りかけており、もし盾が無かったらと思うと彼女の背に冷たいものが走る。
 もし何時も通りに盾を外していれば、命は無かっただろう。


 そして若干肩を上げながら盾を正面に構え……ガトウが此方へ走り寄ってくるのを見て大丈夫だと目で伝え―――


「おい!!」
「声出さなくても大丈……ぶふっ!?」


 ―――ようとして行き成り何かに弾きとばされた。

 転がりながら何事かと顔を上げてみれば、そこには片手に保持したレイピアを立てて外へ攻撃を受け流し、もう片方の腕を伸ばし掌を自分の方に向けているガトウの姿が映る。

 ……もしかせずとも、彼が突き飛ばして助けてくれたのだ。


「あ、ありがと!」
「……あぁ―――――っ!!」


 今度はガトウが、まるで何か弾かれた様に飛び退いて『異形』の次撃を回避する。

 しかしその刺突は奇跡すら見えず……着弾音が聞こえた事で、漸く攻撃が行われたのだと気が付く事が出来た―――つまり、それほどの圧倒的“速度”。
 風切りのサウンドエフェクトと二色の焔ライトエフェクトが、()()()()()聞こえ瞬くほどに圧倒的なスピードを誇っている。


「ギャロロロロ! ギャロロロロロロロロ!!」
「……面倒くせぇ……!」


 しかし―――ガトウもまた異常だった。

 右半身に体を傾けたかと思えば頭上にレイピアを掲げ、火花が飛ぶか飛ば無いかの内に屈む。
 そのまま片手でバック転する……かと思えば腕で軽く跳び上がりレイピアを二度、奇跡が交差するように振う。

 瞬時に得物を逆手持ちに変えて地に突き立てる。

 ソコから火花が飛び散る間もなく体勢を低くして、左肩を前に出しつつ左手での掌底と裏拳を何もない『筈』の虚空へ打ち込む。


「え、は……ちょまっ……な?」


 その攻撃動作“全て”の後で遅れて《焔色のライトエフェクト》が散る事から、彼が無駄な事など一際していないのが分かる。
 流石にリズベットも呆けたような言葉を口にするしかなく……同時に彼女は、自分がいるからこそ攻勢に出れない事を悟っていた。


(なら……此処は隙を見て……!)


 大げさなまでに、攻撃の範囲外へ離脱する。
 それしかない。

 焔の奇跡が三度(みたび)遅れて輝き続ける中、青緑色の鋭い“力”を迸らせながら駆けるガトウを、ギリギリながら眼で追い後期の到来を待つ。
 待つ。
 ……待つ。
 盾を構え、待ち続ける。


 そして―――


「ギャロォ……ッ!!」

(! 来たっ!!)


 僅かに踏み込みが過ぎたか、バランスを崩して攻撃が僅かに途切れた瞬間を狙い、リズベットはバ
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