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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
五節:朧気に映る “刃”
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りを募らせるリズベットとはこれまた対照的に、ガトウはいっそ酷い程落ち着いている。
しかしそれは余裕から来ている者では無く、証拠に表情から眠気が殆ど吹っ飛んで今までのどの戦闘よりも真剣味を帯びていた。
へこたれていても仕方が無いとリズベットは取りあえず手を借りて立ち上がりメイスを構え、化け物を見据えた。
だが、ガトウが短剣を構えながら彼女と同じく化け物からは目を放さず、行動しない様にと言いたいのか左手で制す。
「……おい。盾があるならそれでの、守りに徹しろ。ポーションはあるな?」
「も、勿論よ、盾もあるわ。デスゲームじゃあ油断一つが命取りだからね」
「なら……隙が出来たらポーションは、もっと用意しておけ。命を拾う為に、な」
「あ、う、うん」
鍛冶屋で、主街区で、フィールド途中で見た彼と全くの別人、もしくは双子だったと思われても仕方が無い程に、ガトウの纏う空気は鋭い物へと豹変していた。
その冷たさと圧力は問答無用で相手をうなずかせる程。
何時もは閉じ気味な瞳は開かれ、そうした事で初めてしっかりと確認出来た目はこれもアイテムで設定したか白黒逆転しており、その事がより一層気迫を鋭利なものへと昇華させている。
リズベットがメニューから盾を取り出し、しっかりと盾裏の固定具を握り、ガトウは音で確認したか切っ先を向け構えるや否や、その場から消えたかと見紛う如きスピードでリズベットから距離を取る。
一瞬遅れて発生した爆風が彼のその脚力―――STRの高さと敏捷度による速さを物語っている。
「ギ、アアアァァァアア!!」
それでも化け物は尚、リズベットへと狙いを定め第三の腕を引き絞る……
「……
阿呆
(
アホ
)
」
と、化物の足もとで強烈なエフェクトが発せられ、ガーネット色の閃きと共にガトウは次々と刺突と斬撃の連続技を命中させていく。
……ダメージを与えた事でヘイト値がガトウの方へと
偏
(
かたよった
)
らしく、『化け物』はリズベットを無視しターゲットが移ったガトウを狙いはじめた。
「ギャロロロロロロロロロロロォォォォォォォオオォォォォォ!!!」
「チィ…………」
二、三度第三の腕を撃ち放って地を揺らし、拳と蹴りを叩き込んでまたも揺るがす。
ガトウは殆どギリギリの位置で身を引いて仰け反り、または刃物を駆使して僅かに逸らし、それらの攻撃を見切りつつ捌き続けて行く。
隙ありとばかりに三度剣を振るい敵を切り裂き、三角形の光芒を散らせるソードスキルを化け物へと目視困難な高速で見舞う。
「ギロロロロロ! ギャロ……ギャロロロロロロロ!!」
しかし化け物もやられてばかりでは無い。
今まで通り第三の腕を引き絞
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