暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
五節:朧気に映る “刃”
[4/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
け止めざるを得なくなった。

 先程叫んでいたように精神的に疲れているリズベットは、如何にか隙を作り出して入れ替わるべくメイスをしっかりと構える。
 襲い来た大きな一撃を前に待ってましたと弾いて……片手鎚スキル単発技『パワー・ストライク』を、上段から思いっきり叩きこんで今度こそ広めに距離を取らせる。


 そして合図すべく、若干後ろに顔を傾けた。


「ガトウ、スイッ―――ッ!?」


 “スイッチ”……そう言いかけた瞬間疾風が横切り、薄緑色のライトエフェクトが真横を駆け抜ける。

 次いで二回金属音が高らかに響いたかと思えば、既にガトウはアイアンゴーレムと至近距離の間合いに入っていた。

 喰いぎみな発動だったかに見えるが、実際はタイミングも位置取りもバッチリで、おまけに息があっていなければ上手く成功しないソードスキルでの直つなぎを披露して見せたのだ。
 明らかに発動タイミングが分かっていなければ出来ない芸当に、リズベットは驚きと称賛入り混じる溜息を吐く。


(そう言えばアイツ、外では一匹二匹を速攻で倒してて分かんなかったけど……相手の攻撃を全部読んで完璧に回避できてたっけ。なら相方に合わせるのもある程度可能なのかな……?)


 もしそれが的中しているとすると、ガトウのプレイヤースキルである “先読み” スキルは攻略組レベルなプレイヤー達の中でも随一だろう。
 そう言えるほど鮮やかな手前だ。

 堅い為か少し長いがそろそろ決着が付きそうな様子を見て、リズベットは戦っている際悠のガトウの表情が、意外ながら普通に真剣なモノだった事に気が付く。
 顔立ちは全プレイヤーの中でも上位に食い込めるくらいの二枚目と言え、普段はほぼ見られぬ男らしさとクールさを感じさせている。


(ああやって、放漫(ほうまん)まっしぐらな表情してなければ普通にカッコいいのにねぇ……ホント顔も体格も腕も良いのに、肝心の性格で損してるわよ……)


 戦闘も終わりまたもながいながーい通路をひた進み、そろそろリズベットの時間間隔がおかしくなってきた頃。
 出発から合わせてもうどれだけ歩いただろうか、叶うなら転移結晶でリンダースへ帰ってしまいたい……その弱気な考えが頭に響き続け、同時に疲れからの苛立ちがドンドンとより増加する始末。

 例え、意味がなくとも叫びたくなるときはあるモノで……遂にその限界が来たか、いい加減にしろと口を開こうと、リズベットは仰け反るぐらい大きく息を吸い―――


「…………扉だな」
「えっ! ホント!?」


 その空気が思い切り吐き出させる矢先に聞こえたガトウの声で、リズベットは顔を跳ね戻し、色あせた青銅の扉を目にして感情抑えきれず破顔する。
 ……ついでに吸い込んでいた息を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ