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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
五節:朧気に映る “刃”
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も嬉しいとも取れない平坦且つ平坦な声色で呟く。彼が纏う空気は何処か投やりなもので、とても戦場真っただ中とは思えない。
フィールド時のエンカウント戦闘では、意外とどころか流石攻略組とでもいえそうな活躍―――とは言っても速攻で片付ける所為で彼女はほぼ見れていないが―――をしていただけに、リズベットは抜ける気を留める事が出来ていない。
戦闘時と日常の切り替えが上手いプレイヤーでさえ、彼のような極端な切り替えは行えないと断言できる。
「あ、そこ気を付けて。針が飛び出してくるから。しかも猛毒付き」
「……面倒だな」
見抜かれたトラップなど視界のアクセントやオブジェに近く、枝分かれしている迷路も攻略本に載っている情報のお陰ですいすい進むのだが、如何せん
道程
(
みちのり
)
はかなり長く傾斜を登り降りが頻繁に続くので、リズベットは精神的にダレてきていた。
おまけにモンスターも少ないながら出没するので、ガトウがモンスターの数多めに請け負ってくれるとは言え更に余力が削られていた。
対して、その件の(限定的)請負人たるガトウはと言うと……睡眠マニアな―――戦闘を除けば―――遅い思考とダラけた性格だからか苦も無く、精神的にも余裕なのか足を踏み入れた初期そのままの表情。
しかも余裕すらあるか、時折振り返ってはペースを合わせて登っている。
「……」
(う〜ん……やっぱりあいつの視線……)
が……鍛冶屋での会話時と同じように、彼はリズベット本人を見ているというよりも、彼女を
通
(
・
)
し
(
・
)
て
(
・
)
何かを見ている眼に近く、オマケに道中の休憩の際は頭に手を当て左右に力なく振ったり大きく溜息を吐いたりと、全くもって何が言いたいのかが分からない。
己経ずっと視線を注ぐ癖にちゃんと見ていない事と、嫌悪しているのか呆れているか、はたまた別何か分からない所作を見せる事。
……その事が、ずっと彼女の胸の内に引っ掛かっていた。
―――――今ならば、その理由も聞けるだろうか―――――
そう思いもう一度ばかり大きく一歩踏み出した……その矢先。
「ギ、ギギギ……!!」
「……また出たか」
「〜〜〜っ!!! あーもう! 精神摩耗半端ないってのに!」
あざ笑うかのようにモンスターがPOPする。
結果怒りも爆発し、戦わざるを得なくなった。
文句を垂れながらリズベットはイライラからか自ら突撃。
アイアンゴーレムの拳ならぬ拳での単調な一撃を難なく受け流し、片手鎚スキルニ連撃『アッパー・スウィング』で大きくノックバックさせようとする。……しかし相手方の重量は言わずもがな人間以上。
なので蹈鞴を踏むだけで耐えられてしまい、必然的に次の真正面から攻撃を受
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