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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
四節:鍛冶屋リズベット
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、その台詞を聞かなければ岩山へと赴いても金属塔など影も形もない。

 早速討伐隊が組まれ、そこそこ強かったものの危うげ無く討伐は完了し……まあ第一回目こそ何も出なかったが、二回目の部隊に三回目の1ギルドのみの挑戦でちゃんと出たらしいそのインゴットは、スキルが中途半端だったにも拘らず中々の武器や防具に仕上がったのだとか。

 鍛冶スキルが低くとも中々と言わせるのだから、高ければもっと凄い得物が作れるのは明白である。
 ……ちなみに(くだん)のNPCは五十層開通時にはおらず、五十五層開通時に現れた人物らしい。


 ……というような情報を繰り返し反芻しながら、リズベットは怒鳴り疲れで寝る事ができ、すっかり血の降りた頭をがくりとさげて項垂れる。


「あたしから言いだした以上、しかも時間まで決めたからドタキャンは難しいし……はぁ、何でこんな事になっちゃんたんだろ」


 鍛冶屋という事だけでなく、彼女の友人から整えられた容姿からも人気があるリズベットは、中の良い男性プレイヤーも数人おり、しかし特定個人の男性とそれ以上踏み入る勇気が如何しても無く、せめて自分から人を好きになって初めて二人きりで歩こう、と彼女自身は決めていたのだ……が、現状から分かる通りこの世界で最初に歩くその男は、仲が良いどころか第一印象から最悪なプレイヤーである。


 中々如何して、世の中上手く行かぬものだとリズベットはもう一度溜息を吐いた。


 待ち合わせの時間と同時に、寝ぼすけな癖して放漫では無い質なのか、転移門から男は現れる。
 辺りを見回してリズベットを見つけると、早くも遅くもない速度で傍に歩み寄った。


「時間丁度か……」
「いやに律儀ね、そこだけは」


 彼なりに商品をぞんざいに扱った罪悪感でも抱いているのか生来のものなのかは兎も角、待ち合わせの時間にまで睡眠中で大幅に遅れたらどうしようかと思っていたリズベットにとって、どっちであろうとも有りがたい事。

 二人がそろった所で準備もできているだろうし、まずはNPCとダンジョンやボスモンスターについて話をする為口を開こうとして……此処で彼女は男の名前を聞いていなかった事を思い出した。


「えっと、あんた名前は?」
「……ガトウだ」
「ガトウ、ガトウねぇ。なーんか聞き覚えある様な……う〜ん」


 何処で聞いた話かと頭を悩ませ首をひねらせるが、今度は向こうが(一応)名乗ってくれたので一旦考えを止める。


「私の名前は、店の名前にもある通り “リズベット” よ」
「……あぁ、アレあんたの名前か……魚かなんかかと……」
「んな訳あるか! 一番有り得ないわよ!!」


 一悶着あったが如何にか話をするまでにはこぎつけ、フラグ立ての面倒を省く
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