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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
四節:鍛冶屋リズベット
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もに何時の間にやら素のままで固定されていた。
その後、数本試すがどれもこれも反応はほぼ同じで―――何度もしつこいだろうが、本調子ではないリズベットの怒りのボルテージは、不機嫌さと共にどんどん増すばかり。
対する男の方はリズベットの口調や態度は元々気にしておらず、ステータス確認とスキル行使を繰り返すのみ。
……と、十本目に届こうかという所で何故か男はピタリと停止して、彫刻かと見まがう程微動だにしなくなった。
眉を痙攣させながらある種の予感を抱いて覗き込み、予感的中とみてリズベットはまたも怒鳴る。
「何回寝れば気がすむのよあんたはあああっ!! こちとら寝てないのよ辛いんだっつうのっ!!」
「ぬおっ…………あぁ、そうか……そうかい」
「むぐぐぐぐぐぅぅぅっ……!!」
「……まあアレだ、また店による…………金属手に入れないとな、
い
(
・
)
い
(
・
)
奴
(
・
)
を」
店内を見渡してインゴットを確認してから男は背を向けた。
取り繕いも蔑みもまるでなく、恐らく最初からこうなのであろう男の態度は……しかし他人目線ではどう見ても人を小馬鹿にしているとしか思えず、リズベットは思わぬ一言を言い放ってしまう。
それは―――寝不足、最初のイントネーション、男のありえない癖、態度、武器への侮辱、怒りのボルテージ、そして最後のインゴット確認が重なったせいで起きた、全くの偶然且つ勢いのままにぶつけた一言。
「商品にケチ付けた挙句インゴットまで安物扱い……っ! そこまで言うならお気に召す最高の曲刀を作ってやろうじゃあないの!! それに仕入れも私の仕事、最高の金属を手に入れるまで付き合って貰うわよ!!」
他人との干渉を言って良い譲しなかった彼女にとっては、己にも予想外なものであった。
「良いわね、分かった!? ってか拒否権は無いわよ!」
「…………あ?」
「起きてても真面目に聞けんのかアンタはあああぁぁっ!!」
約束と待ち合わせの場所を取りきめ、この数十秒後男が準備のため出て行ってから、リズベットは自分が言い出した発言が何時もの自分からすればありえないものだという事に、立ち尽くしたまま遅れ馳せながら気付くのだった。
・
・
・
・
・
“立ち入り禁止区域である岩石乱立地帯。
その奥地にはひときわ目立つ金属塔が聳え立ち、中に潜む鋼鉄の巨人を打倒せたなら、類稀なる金属が手に入る。
それは武器とすれば何ものにも勝るとも劣らず、防具とすれば困難から護り切ってくれるであろう”
―――これは五十層のとあるNPCが口にする台詞で、同時にコレは何時もは存在しないインスタンス・ダンジョンへの入り口を開くフラグであり
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