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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
四節:鍛冶屋リズベット
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は塵ほどもなかった。
その様相が、彼女の中に怒りを湧き立たせるがどうにかこうにか呑み込こんで、改めて彼を曲刀の棚へと案内した。
既製武器が陳列されているケースの中では、NPCの店売りやそこらの職人とは一線を画す、特徴的かつ鋭いひらめきを放つ武器達が、剣士の手の握られる日を今か今かと待っている。
一通り武器を眺めた男は取りあえず一つ武器を選び、リズベットはケースをクリックしてその武器をメニューからオブジェクト化して取り出す。
男が選んだ曲刀は固有名《ジャガー・タスクス》と呼ばれる得物であり、猛獣の牙の如きフォルムは名前の通りとも言え、更に要求STRは店の既製品の中では一番高い一品である。
「……」
「へぇ……」
作り上げた本人ですら持つのが難しい程の重さを誇るのに、目の前の男は大丈夫なのだろうかと心配に思いながら手渡すが……意外や意外、両手で持っている彼女のその様子が演技だとでも言わんばかりに軽々と……とまでは行かないがそれを片手で持ち上げてしまった。
まぁ重たげに見えるのは、元々彼の緩慢気味な動作の所為かもしれないが……それでもちゃんと持てている。
見た目は確かに筋肉が……それこそコアゲーマーは当然の事、一般人でもでは有り得ないぐらいしっかりと付いているものの、このゲームの筋力はパラメータによって決まるのでに体格の良さは殆ど関係無かったりもする。
勿論全く関係ない訳では無く、単純な届く範囲の問題から長柄武器などを構えた際の問題もあるが、振るうという点において関係無いのは確かなのだ。
「……」
兎も角、見た目通りの筋力を発揮して《ジャガー・タスクス》を持ちあげた男は持ったままステータスを確認した後、数回振り急に頭上に構えて微動だにしなくなる。
と……いきなりサウンドエフェクトが響いて刀身が青い輝きに包まれ、その場で振り降ろしから横に二回振り最後また深く突きいれる、四連続攻撃のソードスキルを発動させる。
ほぼライトエフェクトの軌跡しか見えない速度で放たれた剣技は、彼が並大抵の腕前とレベルのプレイヤーでは無い事を教えている。
実は《ソードスキル》はシステムアシストに乗っかって半自動的に繰り出すという物であり、いうなれば半分は自力で修正できるのでそれを利用して、ソードスキルと同じ挙動で威力と速度を引き上げる事が出来る。
攻略組ともなればそれをできる物は多いのだが、軌跡まで見えない程の同調を行える者は少ない為、彼がなぜ並みではないのかがお分かりだろうか。
この事からこの男は付け焼刃で曲刀を選ぼうとしてはいなかった事が窺え、仕方がなかったとはいえ自身の浅慮だった考えにリズベットは苦笑いした。
しかし同時に、両方を上げる意味がある
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