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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
二節:睡眠の訳……?
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できるって、最初にそう言われたでしょ? だから皆頑張っているのよ?」
「……それぐらい、は知っている。後半のは個人的な、事だ。そこまで、深刻に帰されても困るんだが……」
「あ」
つい敬語を忘れる程の事態にやっとこ付いて行きながら反論していたアスナだが、ガトウのその発言でリークやヒースクリフ共々後半の意味を悟る。
もしかすると彼は、現実世界で何かあったのかもしれない。それこそ、このVRMMO『ソードアート・オンライン』に逃げたくなるぐらいの事態が。
だからこその “どうなるか分からない” なのであろうと……極論を言えばゲームから出たくないという考えすら有り得るのではないかと。
第一、アスナの様な者もゲームに参加しているという事例がある時点で、コアなゲーマーだけがこのアインクラッドに降り立っていると断言できる要素など失われている。
複雑な事情と状況にて成り立っているプレイヤーも居るのは何ら不可思議な事でもない……現にアスナもこの世界に降りたつに至った発端は、兄の身代わりになってしまったという理由が存在するのだから。
つまり彼は、整理が付くまで大きな行動を起こしたくないだろう……推論にすぎないが、それが妥当な位置だ。
「では、今すぐにとは言わない。団入りは考えておいてくれるかね?」
「そう、だな。今の所答えはさっきの、通り即決だが……こっちが纏まったらその時は、良いかもしれないな……」
「肯定的な回答が得られただけでも……いや、実力がみられただけでも収穫だな」
要件は終わったと背を向けて歩き出すヒースクリフにアスナとリークは付いて行くが、ガトウは特に付いて行く理由も戻る理由もないのか立ち止まって遠くを見ている。
また立ったまま睡眠をとっているかもしれない。
そう思い呆れの色濃い溜息を吐くアスナは、ふと気になっていた事を思い出し、少し離れてしまった位置では不安なのでヒースクリフの一声かけてから、聞こえる位置まで歩いてガトウへと問いを投げる。
「あの〜ガトウさん、起きてます?」
「……おぉ」
「良かった……あ、じゃなくて……あの五十五層迷宮区の時、道を塞いでましたよね? 用事はもうないって言ってましたけど、何の目的があってあそこに座っていたんですか?」
「あぁ……あぁ、アレか」
特に細い通路に鎮座し剣を後方で交差させ、破壊不能オブジェクトを利用して通行不可能な状態を作っていた事を思い返し、ガトウは欠伸をかましてから理由を述べた。
「短剣あるしな……前からは、如何とでもなる……後ろからは難しい、から保険を置いておいただけだな……あぁ」
「へ? ってことはつまり―――寝る為?」
「……正解だ」
「はあああぁぁっ!?」
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