暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
二節:睡眠の訳……?
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 例に漏れず今回のモンスターも、重い縦切り主体の両手剣から、スピード重視で突き技主体の細剣へと変わった事で、それまでの動きが嘘のように目に見えて鈍くなった。


「ヤアアアッ!」
「ジュオオオッ!? ォォォ……」


 その隙を逃さず細剣スキル連続技『ペネトレイト』による三連突きを見舞い、リザードマンを爆散させポリゴンの破片へと変える。
 ヒースクリフも神聖剣四連撃『ゴスペル・スクエア』により菱形の閃光と共に葬りさった所だった。

 これで残るリザードマンは一匹となり、これまでずっとナイフを回していたらしく、今もまだ回しているガトウの出番が来た。


「ガトウさん! 危なくなったら援護します! だから全力で行ってください!」
「……」
「ガトウさん?」
「……」


 いやな予感を覚えアスナが耳をすませると……僅かに聞こえるいびき。

 何が起こっているか確定した。


「まさか……立ったまま寝てる!?」
「はいぃっ!?」
「……はぁ」


 アスナの発言にリークは驚愕し、ヒースクリフはため息を吐いた。
 立ったままナイフを回転させて寝るなど、どれほど器用で有ればそんなお馬鹿な芸当が出来るのであろうか。

 しかし戦況は刻一刻と変化するもの。隙だらけだとAIが判断したか、リザードマンは盾を前に出し片手剣を後ろに引き、体が硬直した瞬間モンスターの得物が朱色の輝きに包まれる。

 見紛う事無きソードスキルのプレモーションに、慌ててフォローに入ろうとするも……その前に発動してしまい、無慈悲な刃がガトウへと振りかかる。



 ―――そして何を捉えるでもなく空振りした。



「ジョ、オオッ!?」
「……ああ、出番……だと」


 五十九層迷宮区の時と同じくやる気の無い構えのまま、リザードマンの左後ろ側に陣取ったガトウは、本当に今更な発言を呟く。
 彼は、振り降ろされる刃に合わせてリザードマンから見た左側へと姿勢低くして移動し、同時にがら空きとなった背中を切り裂いたのだ。

 どう考えても寝ぼけた人間には出来ない芸当ではあり、初見であるリークは勿論アスナも目を見張っていた。


「ジャアアアアッ!!」


 決まると思った一撃を避けられ逆に一撃入れられたことからか、単純なアルゴリズムに従って動くだけな筈のリザードマンは、怒った様に剣を振りまわしてくるが、全て紙一重で仰け反られ屈まれ、逸らされる事で回避されて当たらない。

 攻略組の男性プレイヤーを相手した時にも似た状況に、しかしヒースクリフは関心の色を含んだ称賛を発する。


「凄いな彼は……」
「そうですね……私も改めてみましたが、やはり中々の物だと言えます」
「はい、プレイヤーとして
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ