暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
一節:各、それぞれの者等との邂逅
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
抜け、何処まで続くのか不安になる程階段を上ると、中央部よりも少し上付近で脚を止め、そこにあった鋼鉄の扉を開く。


「失礼します」


 壁の全面がガラス張りとなっている円形の部屋の内部には、アスナと同じ白地に赤の十字が刻まれた意匠を持つ制服を着た数人と、彼らとは逆に赤地に白の十字を刻んだ明らかに他とは違う……血盟騎士団を率いる団長であろう人物が、半円形の机の中央に座っていた。

 アルゴの口からでた “ヒースクリフ” という名、 それは彼の物だろう。

 初見でさえ団長にふさわしいと思わせる圧力、何処か人を引き寄せる磁力の如き存在感……例え衣装が他の団員達と同じだったとしても、彼は何かが違うと気付かせる。
 そんな力を持ち合わせる真鍮色の目を僅かに細め、ヒースクリフはアスナへと労いの色含む声を掛けた。


「帰ったか副団長アスナ君。それで、情報は手に入ったのかね?」
「はい。情報屋の協力により、GATO……ガトウに関する情報を手に入れる事が出来ました。詳細はこの羊皮紙へ記してあります」
「任務御苦労……成る程、彼は “ガトウ” という名だったか」


 次にヒースクリフはアスナから手渡された情報に目を通す。
 が、最初こそ真剣だったもの、途中表情からやや真剣味が薄れて行った。
 ……理由など言わずもがなだろう。


「アスナ君……彼、半分以上は寝ていないかい?」
「……はい……半分以上寝てばかりです」
「……」


 予想外な人物像だったか、ヒースクリフは目がしらを軽く押さえて俯いた。
 他のKoB団員達も立ち上がり、特に彼の実力を間近で見たらしいこの場にも居た団員は信じられないと次々羊皮紙を確認するが、最初こそ真剣なのは言うまでも無く、そして後からやるせない表情となるのも全く同じだった。

 どうしても気になったのか、団員の一人が挙手をし許可を得てからヒースクリフへと問う。


「団長、何故彼の情報など調べさせたのですか……?」
「アスナ君から彼―――ガトウの情報を聞いてぜひとも戦力にと思ったのだが……まさかここまで破天荒な人物だとは思いもよらなかった」
「……そ、そうですか……」
「ちなみに、情報屋との会話中も途中で寝たらしい、です……」


 我慢しきれなかったか口から漏れ出たアスナから追い打ちに、ヒースクリフだけでなく他のメンバーも開いた口が塞がらなくなった。

 どれだけ寝れば気が済むのか、と全員がそう思っているに違いない。

 一応半分以上はと言っているので、最低四割程はレベル上げなどにいそしんでいる可能性もあるが、今こそ通じないが事前情報を持ち、フルダイブによる近接戦闘経験のあるベータテスターでさえ、そんなに怠けていて攻略組に追いつくのは至難の技。
 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ