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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
一節:各、それぞれの者等との邂逅
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、だ?」
「あア。ジーエーティーオーって書いてあるけド、それだけじゃあ読みが幾つもあるからナ。それに名乗ったんだかラ、名乗り返して欲しいものだけどモ」
「……それも、そうだな……名前は、読みはガトウ……語尾伸ばさずガトウだ」
「オーケー、『ガトウ』だナ」


 漸く求めていた情報の内一つが手に入った事で、アルゴの顔にも自然と笑みが浮かぶ。だがほころばせた顔をすぐに戻して、次なる質問を投げかけた。


「じゃア、此処からは取引と行こうカ。言いたくないならそれでヨシ、コルやアイテムが欲しいなら工面すルヨ」
「……何が聞きたいんだ、他に?」
「ホームとしている層を聞きたいんダガ」
「十層だ」
「うオ……あっさり教えてくれるんダナ」


 微妙に読み取れた表情からするに、元々隠す気など全く持っていないのだろうと窺えた。
 もしかすると今まで見つからなかったのは、寧ろ隠れる気が無くブラブラ渡り歩いていたからかもしれない。
 特に怪しい行動をしなければ、そこに居るのは軽装備の睡眠マニアであり、怪しいとは思っても名前だって聞く事すらない。

 それに聞いた情報を整理する限りでは、寝てばかりな為にどういう目的か知らないが各層を行ったり来たりしているので、前線でしか広がっていない噂だという事もあり中層プレイヤーなどが出会っても詳細を聞こうとしなかったのは当然の事だと言える。
 実力の件もアスナや一部攻略プレイヤーが一端を見ただけで、新しいエクストラスキルも無いのに下層で幾ら剣を振るっても有名になどなりはしない。

 無論それらがすべてではなかろうし、幾つか運の要素も勿論絡んでいるだろう。全ては様々な要因が重なった、偶然が起こした見つけ難さだったのである。


「兎に角ダ、答えてくれてありがトナ。……アイテムとか奢りとカ、本当に何もいらないのカ?」
「…………」
「おイ? ガトウ?」
「…………」
「……寝てるヨ、コイツ……」


 又も数秒の早業で寝付いたらしい。
 最初から何か拝借しようという雰囲気でも口調でも無かったので、後から言ってきたならその時対処すればいいかと、アルゴは一先ずその場を去る事にした。

 他にも聞きたい事はあるのだが、一番聞きたい事である『次は何処に行こうと思っているのか?』というものは、ガトウならば別に嫌な顔せず答えてくれる事はくれるだろうが、しかし流浪者のように特に当てもなくその日その日を過ごしているとしか思えず、仮に帰ってきても別の場所に言ってしまう可能性が大きい事請け合いである。


 取りあえずは得た情報の真偽を確かめる為、アルゴは暫く足を運んでいなかった和風の層、第十層へと赴くべく転移門広場まで脚を進めるのだった。










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