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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
初節:鉄色の男
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エア』は……見事に全段かわされる。
――――尽く、当たらない。
「―――!」
「く、ああぁぁぁっ!?」
隙をついて男性プレイヤーは頭部等のダメージ軽減が薄い部位へと連続で斬りつけられ、HPを洒落にならない値で削られる始末。
一方的な試合展開に、盛り上がっていたギャラリーである攻略組にプレイヤー達の間には、歓声など既になくざわめきと困惑が広がっていた。
仮にも攻略組であり、剣に振られるでは無く剣を振るう事の出来る存在である、実力と装備共に申し分ない男性プレイヤーの攻撃を難なく捌いているのは、名も知らず姿の見覚えもない一般プレイヤー。
例えて言うならば、世界的なプロの試合に無名の人物が現れ、有ろう事か手玉に取る様な物……この事態に戸惑うなと言う方が無理なのだ。
その後も同様の展開しか続かず、通常攻撃の間隙を、ソードスキルの硬直時間をつかれ、男性プレイヤーのHPはもう既に半分を切りかけている。
焦燥に駆られた男性プレイヤーは賭けに出た。
一番威力の高いソードスキルを出すべくとしたか大きく後ろに剣を引き、切っ先を男へ向けたまま脚を開いて腰を僅かに落とす。
血液めいた赤い光を剣が放ち、ジェットエンジンの如き盛大な金属質のサウンドと共に、体が半身になる程勢いを付け、顔が横を向く程に目一杯腕を伸ばして全力の刺突……単発重攻撃スキル『ヴォーパルストライク』を放つ。
見た目以上のリーチと馬鹿にならない攻撃力を持つ一撃を前に、男は気だるげな表情のまま構えをとらず、敢えて攻撃を待っている。
「……」
(よし、よぉぉっし!! くたばりやがれっ!!)
見切り損ねたかと歓喜の表情を浮かべてそのまま全力で攻撃を叩き込んだ―――刹那、男の視界が何かに覆われた。
「え……? な、うごっ!?」
同時に走る頭部への衝撃。
後ろによろめきながらも何が起こったかと男性プレイヤーは確認しようとして……絶句する。
なぜなら彼等に上にはハッキリと、
WINNEA:GATO
という表示が浮かび上がっていたのだから。
「……終わり、だな」
つまり先程の頭部への衝撃は、ヴォーパルストライクを避けながら繰り出された、頭への突きに他ならない。
周りから見れば当たる直前で身を引いて蹴り出したのが見えた為、それは悩む事もない一目瞭然な出来事だった。
GATO―――恐らくはガト、ガトウ、ガトーのどれかだと思われる名が判明した男は、勝利するなり背を向けたかと思うと、一言も発さず迷宮区の奥へと歩みだそうとして……擦れ違いざまに背後の剣群を抜いた途端、立ち止まり少しだけ顔を俯かせる。
「……ゴックローク……お
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