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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
初節:鉄色の男
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人……短剣をソニックリープの軌道に合わせて回って受け流した……!)


 如何やら男は、時計回りに体を回して同時に短剣を片手直剣に当て、受け流しつつ回避したらしい。
 剣は当然当たらないし、追撃があっても彼は右側に居る為次の攻撃が把握しやすい……中々に考えられた回避行動である。

 しかしそれは同時に、相手の攻撃を完全に見切り、体勢が崩れぬよう体重移動を正確に行わなければいけない、見た目以上に難しい芸当。

 あんなふざけた構えからそれを瞬時にやってのけた男に、アスナは驚愕の色を隠す事が出来ない。


「くそっ! はあああっ!」
「……おっとと……」


 隙を作る為か男性プレイヤーは、システムアシスト無しの通常攻撃を連続で叩き込んで行く。
 しかし―――


「だらっ!」


 1撃目……短剣で剣の軌道を上方へとずらされ、軽く腰を落として避けられる。
 
 更に腕を斬られる。


「るぁあっ!」


 2撃目……振り降ろした剣の切っ先を斜め横へ弾きながら、立ち上がり後ろに下がられた。

 更に投げナイフが飛んできて、男の額を穿つ。


「このおおっ!!」


 3撃目……剣に先端を添えられた上、左側に至近距離で周られて剣が届かない。
 オマケに肩をなで切りにされる。

 ステータスの補正値により常人など軽く超えた速度で振われる刃を、目の前の鉄色男は無表情のまま必死になる事すらなく捌いて行く。
 片手剣を振う男性プレイヤーは、決して弱くはない。
 そも攻略組に名を連ねるモノが……常に最上に危機にさらされる者が、弱い筈など無い。


「このッ! このっ!! なんでだ、何で当たらねぇ!?」
「……」


 激して身に覚え込ませた太刀筋はぶれ、されど遠慮が無くなったが為に速度はさらに上がる。
 されど、刃はいっそ笑える―――否()()()程に掠りもしない。

 鉄色の男の表情もまた、取るに足らない物を見ているかのように、一切合財不変のまま。


「この野郎ぉおっ!!」


 男性プレイヤーが軽く飛び退くと同時、剣を後ろに引いて強く握り水色の光が剣を包み込む……瞬間、バネ仕掛けの如く弾かれた様に剣が右から左へと豪速で移動する。
 先程までの通常攻撃とは一線を画する、達人の威力と速度を持った男性プレイヤーの連撃が、未だまともに構えない男へと襲い来る。

 右から左への一撃を、紙一重で仰け反られ当たらない。
 左から右への一撃は、屈みながら上気味に逸らされる。
 一回転し同方向から繰り出される斬撃は、男性プレイヤーの右後ろに踏みだされ空振り。
 最後の一撃は、そもそも届く筈がない。

 水平斬り四連続『ホリゾンタル・スク
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