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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
初節:鉄色の男
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手や両手の槍に斧、鎚に鎌に日本人の馴染の刀まで、メジャーからマイナー様々な近接武器が登場する。
 だがしかし、その反面弓矢魔法は大胆にも排除してある “近接特化型” ゲームである。

 フルダイブ、即ちコントローラで操作するのではなく、己が動いて現実ではまず披露する場の無い技を繰り出せるとなれば、その興奮は筆舌に尽くし難いモノであろう。


 金字塔を打ち立てるであろうと言われていたのも納得できる。
 ……そして、実はもう一つ特徴的なシステムがあり、それもまた近接武器に関した物が『メイン』となっている。

 だからこそ―――基盤であり醍醐味と言える “剣での戦闘” が娯楽となるのは必然であり、デスゲームとなって今でも訓練やもめ事の決着にと使われているのだ。
 デュエルには幾つかのモードが存在し、強攻撃が入るかHP半減により勝敗がきまる初撃決着モード、HP半減により勝敗がきまる半減決着モード、そしてHP全損により勝敗がきまる完全決着モードがある。

 しかしながら、何故男がデュエルを挑んだのか疑問に思う所もあった。

 あげられる理由としては、そのまま放置すれば転移結晶というアイテムで逃げられ雲隠れされる可能性がある為、憂さ晴らしとアイテム補充の二つが取れるデュエルを選んだのだろう、と推測できる。

 しつこいかも知れないがSAOはデスゲームである為、男性プレイヤーも流石に完全決着モードは選ばなかった。
 されど、周りからも賛成の声しか上がらなかったことから、男性プレイヤーは男に“半減決着モード”の選択を促している。
 対する彼も別段反対する気は無かったのかそれとも寝起きで判断が甘くなっているのか、最初こそメニューウィンドウを感情の読めぬ気だるげな顔で見ていたが、やがて普通に押して決闘の申し入れを受託した。


 アスナが止める間もなくカウントが始まってしまい、男性プレイヤーは周りからの歓声を受けながら剣を真正面に構えた。

 ……次の瞬間、当事者はおろか傍から見ていたプレイヤー達、アスナとそのパーティメンバーでさえ、目を見開かざるを得なくなる。


「おい……何だよその構え」


 流石に片手剣とは分が悪いと見える為、ギリギリでレイピアなのか片手剣なのか分からない細長い剣を装備すると思われた―――のだが彼は何処に持っていたか鍔が無く、柄と刀身の境目が分かりずらい一本の鉄塊から削り出した様な《短剣(ダガー)》を持っていた。

 しかも持ったまま構えるで無く、完全にではないが軽く背を向けだらりと手を下げた状態で。

 まだ寝ぼけているか、もしくはなめているとしか取れないその格好に、しかし頭に血が上っている男性プレイヤーは侮辱と取ったか剣を握る手に力がこもる。


 そして……………カウント
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