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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
初節:鉄色の男
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される通路が多く、攻略のペースは今までと比べて遅めではあったが、高レベルを維持しているからかまず足止めをくらう事は無かった。
 しかしここに来て、この五十五層地点のある細くなった道で、攻略組と呼ばれるトップランナー達は足止めを食らっていた。

 理由は言わずもがな……先に出てきた鉄色と暗銀の男である。

 道が狭い上に、細く長い剣と巨大且つ厚い剣を交差し、破壊不能オブジェクトから外れないよう計算して立て掛けられている所為で、装備と人数の影響もあり通れなくなっているのだ。
 勿論装備や人数は工夫すればよいだけであるが、一番最後の砦である武器二つと男本人はシステムの関係上、如何しても無視できない点である。

 コレが現実ならば飛び越えたり押しのければよい。
 しかしゲームである以上必要以上のルールが存在し、プレイヤーである彼等にそれを破る術は無いのだ。
 よしんばゲームで無くとも、極端に細くなっているうえアーチ状のオブジェクトが邪魔しているので、二人でも通れるかどうか怪しい所。

 だからこそ体に力がこもる程声を上げ、細剣を揺らしながらアスナは彼に話しかけた訳だが……通算三回目となっても彼は口を開くどころか顔を上げすらしない。
 沈黙とシカトに耐えかねたか、それまで声を掛けていたアスナは一歩前に進み出て、彼に顔を近づけ声を張り上げた。


「ちょっと貴方! 通路を塞ぐどころか呼びかけても返事をしないなんて、幾らなんでもこっちを侮辱しすぎじゃあないですか!?」
「……」
「っ……! (また反応しないなんて……!)」


 余りに露骨な無視を受けて頭に血が上ったか、ゲーム特有のオーバーな感情表現によりアスナの瞳孔が狭まり顔が赤くなる。
 元が整っているからか中々に迫力のある表情ではあるが、いかんせん相手は下を向いて脳天を向けているので、全くと言っていい程に通用しない。

 そこに後ろから来た、アスナ達KoBとは別の意匠を持つ装備の男が進み出てきた。
 最初は彼女と同衣装の者達だけだったが、後から他のプレイヤーも来るので(つか)えてしまっているらしい。
 その代表としてきたのであろう男性プレイヤーは、兜を脱ぐなりドラ声を叩きつける。


「おいお前! 俺らはお前ら一般プレイヤーの為にガンバってんだぞ!! 大方仲間がレアもの一人占めしているとかそんな理由だろうが、そんなんで道ふさぐんじゃねぇ! いい加減にしねぇと吹っ飛ばすぞ!!」


 彼の言葉に同調するように、後ろに居た者達の叫び声が段々と大きくなっていく。

 文句を言うものが出るなら兎も角、流石に一つ飛ばしでこう来るなどは予想していなかったか。
 怒りを見せこそしたが何とか平和的に解決しようとしていたアスナは、外にこそ焦りの様相を見せないも
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