第3章 リーザス陥落
第90話 リーザスの鬼門
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。ユーリ!」
ユーリのまさかの発言だった。
今日は、ノースでの戦いが終わり、それなりの休息を取る手筈だった。勿論 サウスの方が敗走している事実には驚いたが、それでも 諜報員を集め 情報を収集し、万全の体勢で望むものだと思っていたのに、ユーリは即断したのだ。
それを訊いて、思わず、志津香はユーリの肩を掴む。
「ゆぅ! アンタは、なんでそう無茶ばっかりするのよっ! さっきだって、もうちょっとで死んでたかもしれない程の戦いがあったばかりなんでしょっ! いい加減、ちょっとは自分の事も、わたっ……、皆の事も、考えなさいよ!」
先程、ユーリに言った筈だ。
『あまり、心配をかけないで』と。
舌の根も乾かぬうちに、また戦場へ向かおうとするユーリを止めたい、と志津香が強く思ったとしても、誰にも責めれないし、今回ばかりはからかう者もいなかった。
如何に戦争中で予断を許されない場面であっても、休息は然るべきだと思えるから。
ユーリは、振り返ると、志津香の手を握り そして顔を思い切り近づけて、最初は静かに、だが……。
「……志津香。こうやって 休んでる間にも、人質の命が危ない。……こいつは……、こいつを相手にする以上、一刻を争う。判ってくれ、……頼む」
「っ………」
ユーリの言葉は、基本的に何処か重い。軽口ばかり叩くランスが傍にいるから、余計に相乗効果と言うものが現れると言うものだ。
ユーリの物言いを聞いて、相手がいったい誰なのか判っている、《ミネバ》と言う者の事を知っているんだと、この時 場にいたメンバーはほとんどが察した。
「――それに、ランスには作戦があるんだろ? 大丈夫だ。ランスが、オレばかりが、目立つ様な作戦をするとは思えん。……だろ?」
「む? どういう意味だ」
「はぁ……(もう忘れたのか……、この馬鹿)まぁ あれだ、人質の中には、ユランがいるのか。……なら、恩を売るのも一興だと思うだよなぁ、って事、……んで、ランスはどう思う? ユランとは関係を持ってるんだろ? 強引に」
「やかましい!! 貴様はオレ様に何を求めるつもりだ!! ……ぐっ、うし車の様に働かせてやろうと思ったが、止めだ止め! 貴様に、これ以上増やさせてたまるか!!」
ランスは、そう叫んでいた。
つまり、無理な配置にはならないと言う事であり、更に言えば、そんな相手にもそれなりに手段がある事を示している。
そして、この時はなんとも思わなかったが、ランスの中で小さな、それでいて、ほかのメンバーにとっては、非常に大きな変化があったのに気づいたのは、この場では殆どいなかった。
兎も角、ユーリは、笑みを浮かべると同時に、志津香に向き
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