第3章 リーザス陥落
第90話 リーザスの鬼門
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」
その言葉を聞いて、ユーリの中の嘗ての記憶が蘇った。
なんの因果か、ヘルマン領土内でいた時の記憶が――。
「あ、あの……、ゆ、ユーリさん?」
「……ああ、すまないな、シィルちゃん。 なぁ、ランス」
ユーリは、どんな表情をしているのか、判ったのだろう。シィルにどんな風に見えていたのかも。そこで、ランスに話しかけた。
「このまま、引き下がる訳ないよな?」
「当然だ。オレ様のハイパーな作戦はもう出来上がっている! だからこそ、面倒臭いが、一度戻ってきたのだ。ふん、フェリスが使えれば、簡単だったんだが、貴様が戻さんからだぞ! っつーか、さっさと戻せ!!」
「……それに関しては、また後だ。……サウスの街には、ランスの女がいる、と言っていたな。それは誰のことだ?」
フェリスに関しては、ランスもまだ納得している訳ではなかった様だが、それでも、人質に取られている《彼女》のことを考えれば、そうゆっくりもしていられないのも事実だったから、渋々話しを変えていた。
「ユランだ。ユランが、縛られていた」
「ユラン……だと。馬鹿な、ユランは、アイツと一緒に ポルトガルの方に……、いや あの抵抗軍は、勇猛果敢な連中だ。そのまま どんどん独断で進行した、と言う事もあり得る。……が、アイツがいて、みすみす……」
「ふん! そんな事はどうでも良い! さっさと行くぞ、ユーリ! 直ぐに、筋肉ババアを挽肉ババアにしてやらんと気がすまん!」
うがぁ! と叫ぶランス。
いつものユーリであれば、連戦である事、そして、負傷者も多数いることを加味して、慎重に行こう、と言うだろう。
「ちょっ、ランス。これだけ皆疲弊してるのに……、それに相手は手段を選ばない様な最低なヤツなんでしょ? 無策で無理に突っ込んだら、危険じゃ……」
ランスの声が聞こえたのだろう。
マリアが、慌てて止めようとするが、並大抵の理屈でランスを止めるのは無理だ。
「次行けば大丈夫なのだ! オレ様が言うんだから、当たり前だ!」
「……負けて帰ってきたのに、なんでそんな自信満々なのよ」
「やかましいぞ志津香! そもそもオレ様は、負けてないのだ。戦術的撤退、と言う手段を使ってるだけだ」
「……物は言いようね」
呆れる志津香と、皆の介抱に走り回っていて戻ってきたかなみが呟いていた。
直ぐにいく、と言うのは正直賛同し兼ねる。行くにしても、せめて つい数時間前まで、怪物相手に戦っていたユーリだけは、休ませたい、と思っていた矢先だ。
「……時間が惜しい。ランス。お前の作戦は道中で訊く。それで良いか?」
「がははは。やはりオレ様の下僕だ! わかってる様だな。ほら、さっさとするのだ
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