第3章 リーザス陥落
第90話 リーザスの鬼門
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てくるぞ」
「……」
2人の返答を訊いて ユーリは、反省をしたのだろう。また、軽く頭を掻くと……、心配を掛けさせた、と言う事で 詫びに向かうのだった。
〜サウスの街〜
リーザス解放軍を撃退し、悠然と街の中心部で武器を杖替わりにし、立つ者がいた。
その口許は、笑っていた。――邪気が溢れるとはこういうのだろう。人の身でありながら、その姿はまさに悪鬼だ。そして、眼前には縛られた者達。
「生憎、だったねぇ……。お前さんの男が助けに来れなくてなぁ?」
にやり、と更に口許が歪む。
「ま、現実ってもんはそう甘くはないって事さね。――絵本の中でやってな。王子様がお姫様を助けるってシーンはね」
ぶん、と 地面に突き刺した戦斧を引き抜き、担いだ。
痛めつけでもするのだろうか、或いはその首を…………。
その時だ。
「ミネバ殿……マーガレット大隊長殿!!!」
息を切らしたヘルマンの小隊長格の男達が取り囲んできた。
「……ったく、なんだい? やかましいね。殺る気が削がれちまったじゃないか」
ぺっ、と唾を吐き捨てると、もう興味がなくなった様に、縛られた兵士達から視線を外した。そんなミネバを見て、声を荒げるのは、集った男達だ。
「あれは……あれはどういうことですか! 我らの部隊が……、トーマ様からお預かりした、貴重な将兵たちが……!!」
集った小隊長たちは、いずれもトーマの本体から分かれた部隊の指揮官。一様に、誇りと信念を湛えた視線をミネバに向けた。その視線は抗議、いや ミネバを責めているようだった。
「ああ、こないだの崩落かい? ありゃあ、不幸な事故だったねぇ」
「………ッ!! 事故、ですと!? 我らが突入した瞬間に、そちらの部隊が引き、その直後に……、あれが偶然だったとでも!?」
「ああそうさ。けど、運が良かったねぇ。こっちより向こうの方が被害が遥かにでかい。泡食って、逃げてったじゃないか。潰れちまうって思ってたんだけどねぇ」
「……その、こちらの被害は……ほとんどが、我々のっ……!」
記憶のにがさから耐えかねて、1人が視線を地に落とす。
彼らが無事だったのは、偶然の配置だったからだ。運良く、落石を免れただけに過ぎず、自分達も巻き込まれていてもおかしくない規模だった。
だが、そんな視線も全く意に介さないのはミネバ。
「そりゃ不幸な偶然だ。それに、戦にゃ、偶然がつきものだろ? ピーチクパーチクみっともなく喚くんじゃないよ」
「…………ッ……! だとしても、ここでの篭城はトーマ様の意向に反しております!! ご指示通りに、リーザスへ戻り、パットン皇子を……!!」
ぎりり……と、歯を食いしばり
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