暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第90話 リーザスの鬼門
[12/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
リもよくわかっている。それだけ、種族間の溝の深い間柄だからだ。だが、彼女達と関わった事は間違いないのだ。
 
 だからこそ、ユーリははっきりと覚えていた。カラー達を苦しめたヘルマンの事。その中でも――ミネバと言う者の名を。 











 

「紛れもなく外道だという事だ。疑う余地なく、……確認する必要もない」

 剣を握る柄の力が上がっていく。

「ユーリ殿」
「ああ、リック。それに、清も」
「そろそろ サウスの街が見えてきます。気を改めましょう」
「怒りは戦場では力を与える――が、判断力は曇らせる。常に冷静(クール)でいる事を忘れるな。 ――ユーリ、お前には愚問かもしれんが、一応な」

 部隊を指揮していたリック、そして 周囲の警戒をそれとなくしてくれていた清十郎が集まる。 そして、ユーリの表情に、仕草に、雰囲気に感じるところがあるのだろう。清十郎が忠告を言い、リックが頷いていた。
 それを訊いて、ユーリは軽く頭を掻く。

「――悪かった。忠告痛み入るよ」

 今、自分が表情にはっきりと出ていた事を、ユーリは悟ると 素直に頭を下げた。清十郎の言うとおり、自分の感情に全てを委ねる訳にはいかない事を、よく知っている。感情は大切なモノ、だと言う事もよく判っているが、それでも 大局を見誤ってはならないのだ。最善と思える行動力、判断力が著しく損なってしまうから。

 その様子を見て 軽く頭を下げるリック。

「いえ。私はユーリ殿には 数え切れぬ程の恩義がある故」

 そう言うと、今度清十郎は軽く微笑んだ。

「ユーリ、幾ら超人的な力を持っていても、貴様も人の子と言う訳だな。――オレとしては、少々安心と言う物も感じるぞ」

 清十郎はそう言う。兼ねてより、ユーリの力量は一線を遥かに超える……どころか、二線も三線も超えてると思える程の力量を持っている事は言わずもがな。現人類最強と称されているトーマを、如何に病持ちとは言え、打ち負かしたのだから。

 それも齢19にして。

 戦時中だとは言え、称賛する者が少ないとは言え、紛れもなく偉業とも言えるだろう。

――あの戦い、一騎打ちは語り草になる筈だ。

 だが、こうやって 素直に感情をみせる場面を見ると……、何処か安心できる。例え、その感情が怒りであったとしてもだ。………怒り故に、完全に安心するのはあまり宜しくないとは思うが。「ふぅ…………んっ!!」

 ユーリは、両頬を思いっきり挟み込む様に叩き、気を入れなおした。
 そして、顔を手で抑えながら 2人に訊いた。

「だだ漏れ……だった、と言う訳だよな?」
「まぁ……それは……」
「ランスは判って無かろうが、……だが、娘たちに訊いてみろ。――即答で帰っ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ