第三十話 アニエスの新生活
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アニエスたちが近づくと、ゴーレムは引き戸式の鉄扉を開け中に入るように促した。
「ミス・ミラン。ここから先はお一人で……」
「分かりました。ここまでの案内、ありがとうございました」
アニエスは頭を下げると中に入っていった。
倉庫の中は、地球で言うアスレチック施設の様なものがあり、何人かの男達がロープ渡りや、CQBなどの訓練を行っていた。
だが、アニエスにはこれらが何の為の訓練なのか分からない。
「お、良く来たな、話は聞いている」
近代的な軍服に身を包んだ、男がアニエスに近づいてきた。
「俺はコマンド隊隊長のド・ラ・レイだ」
「よ、よろしくお願いします!」
前年のアントワッペンでの失敗を糧に、マクシミリアンの肝いりで結成された『コマンド』は隊員数僅か30名弱の小さな規模だが全員が『場違いな工芸品』で武装された特殊部隊だ。
主な任務は、空挺作戦による強襲・後方かく乱・要人救出など、状況に応じて様々な任務が課せられる。
「さて、自己紹介は追々やるとして、まずは体力訓練から始めようか。ロープ渡り、ロープ登り等々、室内の施設を使って延々体力づくりだ」
「銃は撃たせて貰えないんですか?」
「いきなり、銃を撃たせるわけないだろ。それと、訓練期間中は俺の指示には絶対服従だ、一切の反論は許さない。分かったらさっさと始めろ時間が惜しい!」
「は、はい!」
「ここじゃ『はい』じゃなく『コマンドー』だ」
「え!? コマンドー?」
「つべこべ言うな、コマンドーだ」
「コ、コマンドー」
「声が小さい!」
「コマンドー!」
「もっと強く!」
「コマンドー!!」
「よし行け!」
「コマンドー!!」
かくして、アニエスの地獄の訓練生活が幕を開けた。
この倉庫の様な施設は秘密主義が徹底され、周辺を衛兵やメイジたちが巡回し、銃声などの音が外に漏れないように『サイレンス』が24時間かけられていた。
他にも地下射撃場や地下演習場に『場違いな工芸品』の倉庫が有った。
参謀本部は火器の高性能化によって、将来的に戦列歩兵といった密集陣形は廃れると判断し、軽歩兵による近代的な戦術の研究が求められた。
マクシミリアンが地球から流れてきた歩兵操典の何冊かを翻訳すると、参謀本部によって研究は進められ、地下演習場ではメイジと『場違いな工芸品』とを共同で用いた新戦術の研究が行われていた。
……
地下の演習場にて様々な研究が行われているとは、夢にも思っていないアニエスは息を切らせながら訓練を行っていた。
今までのアニエスは、いわば瞬発力重視で耐久性は全く無く、訓練開始1時間で息切れを起こしていた。
「どうし
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