第二十九話 思わぬ再会
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リアからの以来を受け『ダングルテールの虐殺』を首謀した男だ。三人目は魔法研究所の実験小隊隊長コルベール。この男が『ダングルテールの虐殺』の実行犯だな」
「……」
アニエスはギリリと歯噛みした。
「アニエスは誰を仇にするつもりだ? トリステインの王子として言わせてもらうがロマリア教皇を仇にするのは止めてほしいね。ロマリア教の腐敗振りはトリステインの貴族以上にひどいが、その権力は健在だ」
「実験小隊隊長コルベールという男。薄っすらだけど覚えがあるわ」
「コルベールの事だがな。虐殺後、小隊を脱走し世間から隠れるように魔法学院の教師をしているそうだ」
「脱走を?」
「そう、脱走。どうも奴さん、作戦内容を知らされてなかったらしい」
「……」
「自分のした事に、良心の呵責を覚えたのかもな。アニエスはどう思う?」
「私はあの日、誰かにおぶさっていた記憶があるわ」
「ひょっとしたら、アニエスをおぶっていた者はコルベールかもな」
「分からないわ」
「で、どうする? コルベールを仇に決めるかい? 実行犯だぞ」
「……最後の一人はどういう奴なの」
「最後のリッシュモン伯爵は、虐殺によってロマリアから多大な献金を受け取って自身の権力増大に役立てたやり手だな。現在、高等法院の院長で多数の貴族達を従えている、トリステイン切っての権力者だな。僕でも早々手出しできない」
「……リッシュモン!」
「今は無理だが、行く行くは仇討ちの機会を作ってやろう。どうするアニエス? どうしても今すぐ仇討ちがしたければ懺悔しているコルベールで手を打っておくか?」
「コルベールは、今でもあの日の事を悔やんでいるんでしょ? 私を試すような事言わないで」
「そうだったな」
「……リッシュモン、その男が」
アニエスは討つべき相手を定めた。
……
「私はこれからどうなるの?」
「しばらくは新宮殿で寝泊りして貰う。希望するなら銃や剣の鍛錬に指導者を就けてもいい、以前にヤクザ者から教わっていても所詮は素人戦法だからな」
「うん、ありがとう……助かる」
「礼なんか言うなよ。勝手なことをしないように僕達の都合で引き入れたんだから」
「ナポレオン……じゃない。ええっと」
「マクシミリアンだ」
「その、マクシミリアン……殿下は、私の仇討ちに対してどう思われて……オラレルノデスカ?」
「そう畏まらなくて良いよ。そうだな友達が復讐に燃えているのは悲しいけど、何とかしてやりたいって思うよ」
「そう……」
「でもさ、アニエスが本懐を遂げたら、後はどうするんだ?」
「え? それは……考えた事もなかった」
「読
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