第二十九話 思わぬ再会
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ミランは悲しそうな顔をした。
「アニエス、君は復讐を諦めるつもりはないのか?」
「無いわ」
ハッキリと言った。
「う〜ん」
マクシミリアンは椅子に深々と座り直した。
妙に落ち着きを払っていたのは、予めクーペからダングルテールの件で報告書が届いていたからだ。
報告書では王立魔法研究所直属の『実験小隊』と呼ばれる特殊部隊が、新教徒狩りの為にダングルテールで虐殺行為を行った……と書かれていた。
首謀者はリッシュモン伯爵でロマリアからの要請で行われた。この虐殺によってロマリアから多額の献金がリッシュモンに送られ、この金で高等法院の院長の椅子を買い、多数派の派閥の長になった。
(この情報は、リッシュモンの派閥を切り崩す武器になるんだが……)
マクシミリアンは迷った。本心はアニエスの復讐の手助けをしてやりたいが、余りにも相手は巨大だ。下手に藪を突けば蛇が出てトリステインを二つに割るかもしれない。
だからこそ、不貞貴族を取り締まり、リッシュモンら不貞貴族達権力をの少しずつ削って、いずれはトリステインに出血を課さない改革、もしくは少量の出血での改革がしたかった。
「はぁ……今日は、もう遅い。ここまでにしてまた明日にしよう」
窓の外は暗くなっていた。
結局、マクシミリアンは決断は出来なかった。
「アニエスを客室に通してくれ。それと、ミランは残ってくれ。では、解散」
家臣たちは次々と退室して、アニエスも逃げないようにガッチリ警備されて退室した。
部屋を出る途中、一瞬、マクシミリアンと目が合った。
皆、退室し、部屋は二人だけになった。
「監督不行き届きだなミラン」
「……弁明の言葉もありません」
「それにまだ、仲良く出来てないか」
「どうも、嫌われているようでして」
「はぁ……、まぁいい、一つ聞きたいんだが、ミランはアニエスの復讐を手助けするつもりなのか?」
「私は……あの娘のためなら命を厭いません。許可を頂けるのでしたら、助太刀するつもりです」
マクシミリアンは、意外に思った。てっきり復讐に反対かと思ったからだ。
「お前は要職についている、助太刀は許されないよ、やるなら彼女一人でだ。だけど今、リッシュモンを殺したら不貞貴族どもが反乱を起こすんじゃないか、僕はそれを懸念してる。」
そして、『それに、今の彼女では返り討ちされるのがオチだ』と付け加えた。
「……」
「今、リッシュモンを殺るのは危険だ。もっと奴らの権力を削がないと」
「はい」
「そこでだ、しばらくアニエスを新宮殿に住まわせようと思う。これは彼女に勝手な事をさせない為の処置だ」
「……分かりま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ