93話 雷鳴
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ああアアアアッッッッ!!!!」
「それはこっちの、台詞だッッ!」
引きずり出す。ブチブチと「それ」の腹が裂ける。トウカを後ろにいたククールに投げ渡す。待っていたとばかりにベホマの、強力な魔法の光が降り注いだ。これで、トウカは大丈夫だ。
痛みか、怒りか。知りたくもないけど、驚いたことに感情が残っていたらしい「それ」はのたうち回りながら叫んでいた。傷口が今度は僕を取り込もうとする。トウカを助けた手は焼け爛れていた。ということは、トウカは消化されかけたということだろう。
だから、僕は。《《魔法を封じる》》トウカの剣を後から後から臓物が溢れ出し、ぼとぼとごぼごぼと、ドス黒い血と怨念の塊が流れ落ちる傷口に思い切り突き刺した。
手から剣が離れた瞬間、魔力が再び認知できるようになる。そう得意でない僕でもわかる邪悪な魔力は、その巨体からすればちっぽけな剣にすごい勢いで吸われている。ククールが減らしてくれていたのも大きいだろうね。
急速に巨大な肉体を保てなくなった「それ」は、悲鳴をあげる。醜く、獣のように、いや……それはただの、化け物だったかな?
ヤンガスと一緒に僕は、暴れだしそうで死にかけの「それ」から急いで離れた。
そして。
あんまり良くはないけど、これまでの恨み、そしてすべての怒りを込めて、唱える。
「来れ、荒れ狂う雷よ!ギガデインッッ!」
「それ」は、目もくらむほどの激しい雷撃を受けて、こんどこそ、こんどこそ、その気配を絶った。
……恥ずかしい詠唱は余計だったと思う。
・・・・
・・・
・・
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