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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第四話 初出撃
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0!!方位140。仰角最大!!」
紀伊の左手が前に振られた。
「テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
轟音とともに主砲が発射され、殺到する艦載機の周りに次々と炸裂し、無数の火の玉に替えた。煙が消え去った時紀伊はあっと声を上げた。いつの間にかまた艦載機が出現して今度は敵を追い散らしつつある榛名と綾波の方に攻撃を加えようとしている。また半数が紀伊たちのほうに襲い掛かってきた。次々と艦載機は撃ち落とされるが数が多くてなかなか倒せない。
「これではきりがありません。」
機銃を連射しながら不知火が冷静に言う。
「私にもっと対空火器があれば!」
由良が悔しそうに叫んだ。
「く・・・どうすれば・・・!!」
応戦しながら紀伊は唇をかんだ。
「紀伊・・・・。」
傷ついた声がした。紀伊が振り向くと、由良の肩にすがった瑞鶴だった。
「いくら敵艦載機を撃ち落としても・・・元を絶たないと・・・・駄目よ・・・・。」
「元を・・・・絶つ・・・・・・?」
紀伊はいぶかしげに瑞鶴を見つめた。
「そう・・・あなた・・・・空母でもあるでしょ。その飛行甲板・・・・・役に立たせてみせなさいよ・・・・。」
「でも・・・・。」
紀伊は自信がなかった。さっきは転覆しそうになって艦載機そのものが発艦できなかったくらいだ。
「だいじょうぶ・・・・あなたなら・・・・できるわ・・・・私を助けてくれたあなたなら・・・・・・・・・。」
瑞鶴は傷を負って苦しそうだったが懸命に言葉を発し続けた。
「風上に向かって・・・走り・・・・合成風力で・・・・艦載機を飛ばすの・・・・・。」
「瑞鶴さん・・・・・。」
紀伊は瑞鶴を見つめた。傷を負ってボロボロになっていたがその姿はまさに正規空母だった。こんな姿になっても瑞鶴は最後まであきらめようとしていない。ふと紀伊は脳裏に何か光のようなものが差し込む感覚にとらわれていた。
(これ・・・この光景・・・・どこかで・・・・。あっ!)
以前呉鎮守府に来る途中のことを紀伊は思い出していた。あの時も重傷を負いながらも自分を叱咤激励してくれた暁がいた。今も瑞鶴が自分を激励してくれている。その思いに応えなくてはならないと紀伊は感じた。それに、このままでは航空戦力で決定的に劣る第七艦隊は敵艦載機の前に壊滅してしまう。

この窮地に立ち迎えるのは、正規空母並の装甲甲板を持っている自分しかいない。自分がやらなくてはならない。紀伊の心は決まった。

「・・・わかりました。やってみます!!」
紀伊はうなずいた。
「少しの間、お願いできますか?」
紀伊は由良と不知火に尋ねた。
「お任せください。瑞鶴先輩を必ず護って見せます。」
不知火はうなずいた。
「ここは大丈夫ですから、早く!お願いします!」
由良もうなずいた。紀伊はうなずき返すと、水面をけって
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