第四話 初出撃
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のことです。であれば嵐を突っ切ってきたか、若しくは迂回してきたか。いずれにしても南方から来るということは嵐のコースをなぞるようにしてくるわけですから、接近に気付かないわけがありません。それをあえてこんなところにとどまっていたというのは――。」
「まさか・・・・!!」
榛名がはっとした時だ。大音響が聞こえた。はっと振り向くと後方の彼方で爆発と水柱が無数に立っていた。
「瑞鶴さん!!!」
榛名が叫び、飛び出していった。紀伊たちも後に続く。彼方でまた大音響がとどろいた。無数の水柱がこちらに向かってくる。いや、それとともに一人の艦娘が突っ走るようにして全速力でこちらに向かってくる。
「瑞鶴さん!!」
榛名が再び叫んだ。瑞鶴だった。だが、飛行甲板は大破している。服もボロボロで傷だらけだった。その後ろから黒い小さな点が無数に接近してくる。敵の艦載機だ。
「艦載機?!そんな、こんなところまで敵の空母が?!」
榛名が愕然としたように叫んだ。無数の小さな黒い点はいったん急上昇した後、太陽を背にすると、急激に落下してきた。
「危ない!!瑞鶴さん!!」
綾波が叫んだ。瑞鶴はちらと後ろを向いた。
「嘘・・・・そんな・・・・!!」
みるみる顔が青ざめ、行足が止まった。
「やだ・・・・翔鶴姉・・・・やだ、私・・・やだ・・・・死にたくない!!!」
瑞鶴の叫びが引き金となったか、敵が一斉に爆弾を投下してきた。
「いやあっ!!翔鶴姉っ!!!」
瑞鶴が悲鳴を上げながら目を閉じ、腕で顔をかばった時だ。
突如大音響がとどろいた。
「え・・・・・。」
瑞鶴が恐る恐る目を開けると、自分の前に艦娘が立ちはだかっていた。主砲からは煙が出ている。そして左手は虚空にまっすぐに向けられていた。その先には燃えカスとなった敵艦載機が無残な姿で海に落下していくのが見えた。
「き、紀伊・・・・!?」
瑞鶴は信じられなかった。あの距離では駆逐艦でさえも絶対に間に合わないはずだったのに、紀伊は瑞鶴の背後に回り、主砲を撃ち放して敵を爆弾もろとも消滅せしめたのだ。
「瑞鶴さん、大丈夫ですか!?」
紀伊が瑞鶴を見ながら叫んだ。
「え、ええ・・・・。」
「紀伊さん、ありがとう!私と綾波さんが敵を食い止めますから、後を頼みます!!」
追いついてきた榛名がそういうと、綾波を促して出現した敵の小艦隊に突撃していった。
「不知火さん、由良さん、瑞鶴さんを護って後方に退いてください。ここは、私がやります!!」
紀伊はきっと敵をにらんだ。そのすきに榛名と綾波は前方に展開する敵の小艦隊に向けて主砲撃を開始していた。たちまち海面が沸き立ったが、二人は的確な動きで次々と敵を撃破していった。
すかさず待機していた別の艦載機が襲い掛かってきた。
「主砲、三式弾装填!!信管作動距離70
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