第四話 初出撃
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ットで航行中。まだこっちに気づいていないわ。」
「方角と距離から見て、あの黒い嵐の境界線付近ですね。どうしましょう?」
綾波が言った。榛名はしばらく考えていたが、やがて瑞鶴を見た。
「敵艦隊の位置と嵐の位置はどうなっていますか?」
「待って・・・・敵艦隊の後方約1000の地点だって。典型的な低気圧ね。これは南西から北北東に進んでいるわ。」
「なら、距離および嵐の速度を考えると、敵艦隊を撃破して戻ってこれる時間的余裕はあると思われます。どう思いますか?」
「そうね。ここで発見して何もしないで戻るのは好きじゃないわ。アウトレンジで敵艦隊を粉みじんに粉砕してあげる!」
「皆さん、それでいいですか?」
誰しもがうなずいた。一人紀伊はできれば戦闘は避けたかった。だが、突如提督の言葉がうかんだ。
誰もが通る道だ。避けては通れない。
そうだ。どのみち避けて通れない道なら、早く慣れた方がいい。紀伊はうなずいた。
「行きましょう!第七艦隊、出撃します!!勝利を、提督に!!」
榛名が叫んだ。6人は波を蹴立てて、一斉に滑り出した。
「瑞鶴さん、艦載機の発艦を!!」
「わかったわ。」
瑞鶴は矢を抜き取り、虚空に向けて構えた。
「第一次攻撃隊、発艦開始!!」
叫びとともに次々と放たれた数本の矢はたちまち無数の艦載機と化して敵艦隊の方角に飛び立った。
「第一次攻撃で敵艦隊が乱れたところに由良さん、不知火さん、綾波さんが右翼から、私と紀伊さんが左翼から敵を包囲して挟撃、これをたたきます!」
榛名が言った。
『わかりました!』
4人はうなずいた。紀伊もうなずきを返しながら祈るような思いだった。艦載機発艦に失敗してしまった今、せめて戦艦として一隻でも相手を撃破したい。そうでなければ自分は何と中途半端なのかと言われ続けるだろう。それにもまして足手まといと思われることが耐えがたいほどつらい事だった。
「・・・・・・・!」
紀伊がこぶしを握りしめた時、前方に爆炎が炸裂するのが見え、轟音が耳に届いた。
「やった!第一次攻撃成功よ!!駆逐艦1撃沈、2中破、軽巡1小破!」
瑞鶴が勝ち誇ったように叫んだ。
「お見事です、瑞鶴さん!」
榛名がうなずき返し、傍らの軽巡艦娘を振り返った。
「由良さん!」
「はい。砲雷撃戦、始めます!」
由良を先頭に不知火、綾波が艦列から離れ、いったん右に転進した後方向をかえ、右翼から突撃した。たちまち気づいた敵艦隊と砲戦になり海面は大小の砲弾で沸き立ったが、3人は的確に中破した敵艦を撃沈していく。
「瑞鶴さんは退避して、攻撃隊の収容と二次攻撃に備えてください!」
瑞鶴はうなずき、転進すると彼方に遠ざかっていった。
「紀伊さん!」
榛名の声に紀伊は血の気のない顔でうなずいた。砲弾が飛び交い、時にすれすれ
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