第四話 初出撃
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いています。普通の人はなかなかそうはできません。筋がいいんじゃないでしょうか。」
「いいえ、まぐれだと思います・・・・。」
紀伊は頬を染めて首を振った。その姿はとても初々しかった。
「私は羨ましいです。14センチ単装砲や旧式の魚雷発射管じゃなくて紀伊さんみたいな連装砲や飛行甲板を装備してみたいって思うときがあります。」
「私は由良さんみたいに落ち着きのある人はすごく憧れます。なんていうか、どんな荒い海に出ても転覆しないで航行できる、そんな艦娘になりたいんです。」
「じゃあ、私じゃなくて榛名先輩を見習った方がいいですよ。戦艦ですから、私よりも大きくて安定感がありますから。」
紀伊は思わず笑っていた。由良もにっこりした。紀伊は久しぶりに笑ったような気がした。
「紀伊!」
「はい!」
瑞鶴が呼んでいる。いつの間にか先鋒隊は停止していた。紀伊は急いで瑞鶴のもとに走っていった。
「哨戒地点に到達したわ。今から索敵機を発艦してもらえる?」
「え?あ、はい!」
紀伊は飛行甲板を水平に持っていこうとしたが、突然盛り上がるようにして現れた大波に足を取られてバランスを崩しそうになった。
「きゃあっ!!」
慌てて体制を立て直そうとして、瑞鶴にぶつかりそうになった。
「もう、何をやっているのよ!」
瑞鶴が腰に手を当てて紀伊をにらんだ。
「ご、ごめんなさい。」
「発着の際には周囲の状況をよく確認しなさいって、言われなかったわけ?」
「・・・・・・・。」
「・・・・もういいわ。私がやる。」
瑞鶴はなれた手つきで矢を抜き取り、弓につがえると青空に向けて放った。たちまち数機に分かれた索敵機は四方八方に散って姿を消していった。
「すごい・・・・・。」
「すごいって・・・・別に当り前の事よ。あなたも正規空母並の飛行甲板を持っているのだから、少しは恥ずかしくないように練習したら?」
「瑞鶴さん・・・・。」
しゅんと黙り込んでしまった紀伊を見かねた榛名が瑞鶴にささやいた。
「あ・・・・。」
瑞鶴は一瞬ばつの悪そうな顔をし、何か話したそうになったが、結局何も言わなかった。気まずい雰囲気が艦隊に漂った。
「あの、意見具申よろしいでしょうか。」
不知火が口を開いた。
「はい。なんでしょうか?」
「前方方位20の方向に雷雲らしき雲あり。大型低気圧です。間もなく嵐になるものと思われます。一旦北上してこれを避けた方がよろしいのではないでしょうか?」
不知火の視線を追うと、確かに黒い雲が水平線上に膨れ上がってきている。
「本当ですね。わかりました。一旦北上してやり過ごしましょう。」
その時瑞鶴がはっと顔を上げた。
「索敵機より入電!敵艦隊発見!方位30。距離2500!敵艦隊の陣容、駆逐艦3、軽巡2、重巡1。方位30から方位120に向けて18ノ
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