第四話 初出撃
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話をつづけた。
「私だって皆さんの役に立ちたい。足手まといにならないように精一杯頑張ります!」
そう言いながら紀伊自身が驚いていた。本当は戦いなんて嫌だった。逃げ出してしまいたいくらいだった。でも、自分にこういう言葉を言わせたのは何だろう。紀伊にはわからなかったが、ただ一つ言えるのは、自分にそう言わせる何かが自分の心に根ざしているということだった。
「ありがとうございます!」
榛名はにっこりした時、またドアが開いて二人の艦娘が入ってきた。
「ごめんなさい。遅くなって・・・あれっ?」
瑞鶴は意外そうな顔で紀伊を見た。
「そっか。あなたがここに入るんだ。よろしくね!」
瑞鶴は快活にあいさつした。
「はい!よろしくお願いします。」
瑞鶴の後から入った艦娘が礼儀正しくあいさつした。
「綾波と申します。よろしくお願いいたします。」
「紀伊です。こちらこそよろしくお願いします。」
「では、そろったところで、早速今日の哨戒エリアを確認しましょうか。」
「今日!?」
紀伊は思わず叫んでいた。
「何よ。知らなかったの?」
瑞鶴が驚いた顔をした。
「は、はい。てっきり・・・・。」
「着任早々任務に就くとは思わなかった?でも、艦娘たるもの常に戦時の心構えでいろと提督がおっしゃっていたわよ。」
「・・・・・・・。」
「すみません。でも、予定は変更できませんので・・・・。」
榛名が申し訳なさそうに言った。
「いえ。大丈夫です。」
紀伊は強くかぶりを振ったが、本当はまったく自信がなかった。
6人の艦娘は波を蹴立てて水平線を走っていく。先頭は榛名。その後ろに不知火、瑞鶴、綾波と続き、その後ろに紀伊と由良が走っていく。速力はだいたい20ノット弱だったから紀伊でも十分ついていけたが、初めての出撃の緊張からか彼女の動きはぎこちなかった。
「大丈夫ですか?」
後ろから声をかけられて、はっと紀伊は振り向いた。由良がこっちを見ていた。
「すみません。何か隊列を乱しましたか?」
「いいえ。そんなことはありません。でも、とても緊張されているようで心配になったもので。」
「ごめんなさい。私っていつもそうなんです。自信なくて・・・。」
「そんなに立派な艤装を持っていらっしゃるのに、ですか?」
紀伊は内心と息を吐いた。この言葉をよく言われる。そして思う。この艤装にふさわしい自信が持てたらどんなにいいだろう、と。
「装備だけ立派だって、中身が空っぽだったら何の意味もありません。私はまだ人に胸を張って自慢できるような特技はありませんし・・・・。」
「でも、今はこうやってみんなと一緒に走れているじゃないですか。普通の艦娘は最低半年は練習航海や演習を積んで、各鎮守府に配属になります。でも、紀伊さんは就航してからわずか数日でこちらに来られたと聞
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