第四話 初出撃
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「初めまして。第七艦隊の旗艦を務めます、金剛型戦艦3番艦、高速戦艦榛名です。あなたのことは霧島からよく聞いています。よろしくお願いいたします。」
礼儀正しく榛名は頭を下げた。
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
紀伊は頭を下げた時、会議室の右手奥のドアが開いて二人の艦娘が入ってきた。
「ちょうどよかった。紹介しますね。向かって左の方が軽巡洋艦由良さん。そして右が駆逐艦不知火さんです。こちらは本日付で配属になった紀伊さんです。」
「長良型軽巡4番艦由良です。どうぞよろしくお願いいたします。」
「陽炎型駆逐艦2番艦不知火です。ご指導ご鞭撻、よろしくです。」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします!」
紀伊は深々と頭を下げた。
「あと二人いるのですけれど、今は所用で外に出ています。もうすぐ戻ると思いますから、もうしばらく待っていてくださいね。」
「あの・・・・・。」
紀伊は榛名の「あと二人」という言葉を聞いて不安に思った。
「あの、後のお二方はどなたですか?」
「一人は第5航空戦隊から一時的にこちらに来られます正規空母の瑞鶴さん。もう一人は駆逐艦の綾波さんです。」
紀伊は内心ほっと胸をなでおろした。二人とはまだ面識はないが、とにかく今は加賀と日向と一緒じゃなかったことに安堵していた。そう思ってしまった罪悪感に胸が痛んだりもしたのだが。
「紀伊さん、早速ですけれど、二人が戻り次第ミーティングを始めたいと思います。」
「あの、ミーティングとはなんでしょうか?」
「はい。私たちは所属する艦隊ごとに哨戒担当エリアが決まっていて、定期的に出撃しなくてはならないのです。」
「・・・・・・・・・。」
「私たち第七艦隊が担当するのは紀伊半島沖約100キロ地点までの範囲です。ここ最近しばしば深海棲艦が出現して海上輸送路が脅かされているとの情報が入ってきています。おそらく小単位ではない艦隊が遊弋していると思われますので、これを探し出して叩く必要があるんです。」
「・・・・・・・・・。」
榛名は紀伊の不安そうな顔を見ていたが、やや改まった顔つきになって言葉をつづけた。
「紀伊さん、こんなことを言って気を悪くされたらごめんなさい。あなたが着任されたばかりだということ、まだ就航したばかりで実戦経験もほとんどないことも承知しています。とても不安だと思います。私も初めはそうでしたからお気持ちはわかります。でも、お願いです。どうか私たちに力を貸してください。」
紀伊はしばらく黙っていたが、意を決したように話し出した。
「私はあまり実戦経験もありませんし、砲撃や艦載機攻撃も満足にできない艦娘です。」
「だから。」と言おうとしたが、口から出てきたのは「でも。」だった。
「でも・・・・あ、で、でも・・・・。」
紀伊は躊躇いの言葉を飲み込んで、
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