第四話 初出撃
[11/11]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
西の方に走り出した。それを追って敵機が殺到する。紀伊は流れるような動きでそれを交わし、走り続けた。
「対空火器、後方の敵を防いで!!」
紀伊の言葉に艤装に備え付けられたあらゆる対空火器が火を噴き上げた。次々と敵機は撃ち落とされるが敵も爆弾を投下し、紀伊の前後左右に水柱が噴き上がる。
「風を読む・・・・風を感じる・・・・・風に乗る・・・・・。」
紀伊の眼がある一点を捕えた。
「捉えた!!」
水柱が立ち上る中、飛行甲板が水平に突き出された。真正面から吹き付ける逆風が紀伊の右腕に感じられた。
(お願い!!少しでもいい。皆を助けて!!)
「艦載機隊、発艦はじめ!!」
紀伊は叫んだ。開口部が開き、次々と艦載機が空に舞い上がっていく。
「見てください!!」
戦闘のさなか綾波が叫んだ。榛名が西方を見ると、艦載機が次々と空に舞い上がっていくのが遠目に見えた。
「紀伊さん・・・・やりましたね・・・・!」
榛名は微笑んだ。
「敵の艦載機の襲来した方角に、空母があるはずです!艦載機の皆さん、索敵、お願いします!!」
紀伊が叫んだ。
飛び立った艦載機隊は反転し、敵機が飛来してきた方角に低空で飛んでいった。紀伊はその後を全力で走り、懸命に耳を澄ませた。その耳に雑音らしいものが入り込んできた。
(見つけた・・・・!!)
紀伊が顔を上げるのと、艦載機から入電があるのとが同時だった。
「敵の軽空母、それに正規空母が1隻ずつ!!随伴艦隊を先行させ盾にし、自分たちはその後方から、つまりアウトレンジ戦法で私たちを狙ってきていたのね・・・・!」
紀伊の右手が振られた。
「急降下爆撃機、敵軽空母を!!雷撃機隊は敵正規空母を!!攻撃開始!!」
爆音とともに猛然と突っ込んでいった爆撃機彗星は撃ち落とされながらも無数の爆弾を軽空母ヌ級に命中させた。たちまち黒煙が空に上がっていく。それが紀伊の眼に映った。
「敵、視認!!雷撃機、お願い!!」
紀伊が叫んだ。低空すれすれを飛ぶ流星攻撃機隊は敵の対空砲火にも屈せず、次々と魚雷を投下した。それが海上を走り、ヲ級に殺到すると大爆発を起こし、消し飛ばした。
「今だ!!主砲斉射、はじめ!!テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
紀伊の左手が振られた。海面をとどろかせた主砲弾はまっしぐらにヌ級を直撃、粉みじんに粉砕した。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ