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宇宙を駆ける狩猟民族がファンタジーに現れました
第二部
狩るということ
にじゅういち
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騎士は呻き声を上げながらも、必死に立ち上がろうと震える四肢に力を入れた途端、吐瀉物を撒き散らした。

 ナイスファイト!と、心の中で賛辞を送る私の目の前で、平騎士は意識を手放し、尻を持ち上げた何とも滑稽な姿勢で地に平伏す。

 うわっ、ばっちぃ……。
 
 かなり加減をした押し込んだだけの蹴りではあるが、べっこりとプレートメイルが凹んでいるのを認め、その脆さと力加減の面倒さに辟易とする。

「うぅ〜……。降ろしてくださいぃぃ……」

 ちょっと鈍器は黙ってようか。

 いまだ私の左脇に抱えられたままのエリステイン。その涙まじりの訴えを無視して、私は総隊長へと視線を向ける。
 既に後方へと跳躍して間合いを取り、口元を拭いながら私を睨み付けていた。

「このっ、バケモノが!」

 残念、流れているのは貴様の鼻血だ。
 いくら口元を拭ったところで、次々と流れてくるぞ。

 私はエリステインを抱え直し、その持ち上がった反動で彼女が小さく悲鳴を漏らす。

「……自覚が足りない」

 私は彼女へ視線を落とし、囁く。
 それに対して、キョトンとした目を向けたまま、「へっ?」と疑問を漏らす彼女。
 私は内心で溜息をつき、何と問いたげなエリステインから視線を切った。

 理解していない。

 全く理解していない。

 残念だ。

「鈍器としての、自覚が足りない」
「ありませんよそんなのっ!!」

 なんという言い草だろうか。
 そんな心ない言葉に、私の心は深く傷つき、深海の底へと沈んでいくような悲しみを覚える。

「何をお喋りしている!」

 ごもっともです。

「では聞くが、彼女の命を狙った理由はなんだ?」
「簡単に口を割ると思うか?」

 酷薄な笑みを浮かべ、総隊長は宣う。が、腕で拭った鼻血の跡が滑稽すぎて、正直自分で聞いておいて何だが、どうでも良く思ってしまった。
 それに、目の前の男に対して、私は特に何も攻勢に出ていないのにも関わらず、肩で息をしている様子を認め、身体強化の反動が出てしまっていることを理解した。

 このまま続けていても何の進展もないであろう。あとは、拷問にでも掛けさえすれば大人しく吐くか。

 私は吐瀉物にまみれて気を失っている男に視線を向ける。

「残念だが、そいつは何も知らぬぞ。私から出る甘い蜜に群がっていた1人に過ぎないのでな」

 そう言ってクツクツと喉を鳴らし、既に事切れている男を顎で指し示して「あいつも同類だ」と、言い放った。

 どこの国もそういった側面はあるのだろうが、平和であるが故にゆっくりと、それこそ誰も気付かぬうちに腐敗していき、気付いたときには既に手遅れの状態になっていることがある。

『平和とは次の争乱のた
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