第二部
狩るということ
にじゅういち
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込め、見たことのあるエネルギーフィールドが奴等の全身を覆うように揺らめいていく。
「マッスル躍動!!」
あっ! 修正するの忘れてた!
2人揃ってそんな馬鹿馬鹿しい言葉を叫び、絶命した男とは比較にならない速度でこちらへと駆けてくるのを視界に捉え、私は背に庇う形になっているエリステインの腰を掴み、左脇に抱えて跳躍。
奴等2人の頭上を悠々と飛び越え、空中で一度体勢を整えてから着地する。
その先では急ブレーキを掛け、地面にその軌道を残しながら止まる2人のマッスル騎士。
苦虫を噛み潰した顔。総隊長のこちらを振り向くその顔には余裕は見られず、瞳は血走り、噛み締めた唇からは一筋の細く赤い川が流れていた。
「何をそんなにムキになっているんだか……」
「あなたが挑発なんてするからです!」
エリステインは律儀に私の言を拾うと、抱えられたまま声を荒げる。
「先に喧嘩を吹っ掛けてきたのはあの猿共だろう」
そう指差す私に、両マッスルは顔を赤くしてこちらを睨めつける。
「蛮族風情が調子に乗るなぁ!!」
蛮族なのは否定できない!
先程よりも速く、そして重く。踏み込んだ地面が破ぜる。
肉体を強化したことによって、通常の何倍ものスピードとパワーをその身に恩恵として得られている。
しかし、そういったものには兼がねリスクというものが付いて回る。
それもそうだろう。脳がリミッターを施し、肉体が壊れないように制御しているのだ。それを無理矢理に、尚且つ後先考えずに限界を超えた力を使い続ければ、本人の意思に関わらずいずれガタが出始める。
特に、冷静さを失っている目の前の男共などがその尤も足る良い例だ。
真っ先に私へと到達した総隊長の横凪ぎの一閃を、1歩後ろに下がって躱す。
鋭さ、速さ、威力、そのどれを取っても申し分無い一撃であった。しかし、当たらなければそのどれもが意味を無くす。
「はぁぁあ!」
死角になっていた総隊長の背後。その背に隠れていた平騎士が飛び上がり、私の頭上をカチ割る勢いで手に持ったロングソードを降り下ろす。
その真っ直ぐに降り下ろされたそれを、半身を捻って躱して、その勢いのまま一回転。
「へぶぅ!」
「えんっ!」
左脇に抱えていたエリステインの蹴りを横っ面に浴びせられた総隊長は情けない声を上げ、止まることなく突き刺さるような一撃が平騎士の後頭部に直撃する。
「か、踵がっ! 踵が割れちゃいます!」
五月蝿い我慢しろ。
折れたらまた医療ポットに入れてやる。
私は間髪入れず、今度は殺さないよう細心の注意を払いながら、体勢を崩した平騎士の脇腹を蹴り付けると、そのまま3メートルほど地面を転がり倒れ込む。
平
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