一章
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墜ち人
簡単に言えば罪人の子供。それだけならこんなかんじに揉め事も起きなかっただろうが、罪人つっても第一級犯罪者で、世界最大の牢獄で無期懲役をくらったやつらが無責任にもそこで生んで牢獄のなかで育った人間のことだ。そこから出られるなんてまずありえない。親の罪を償って、能力が高くて、それでやっと出れたとしてもあーんな感じに差別を受ける。出られることがありえないというより、出たいヤツが早々いない
まぁそりゃそうだ。隠そうにも、誰が見てもわかるように真っ赤な髪に染められ、利き手に鎖の烙印を刻まれる。髪にしろ烙印にしろ隠したらその瞬間死刑確定。ムショがどんなところか知らねぇが、だからといって外だ夢を抱けるような生き方はまずできない。身分としては保証されてるから仕事にしろ買い物をするにしろ好きにしていいんだが、まぁそれを快く思うやつはいない。それに対して訴えることは不可能。墜ち人には自分を縛る法はあっても、守る法は一つもない。
いろいろと飛び回ってる俺だがそれでも初めて見る。しかも、まぁ強気なもんだ。墜ち人ってだけで殺されたっておかしくねぇのに
「て、てめぇ!墜ち人のくせに何て口をききやがるんだ!!」
「永遠に敬語を使え、なんて出るときに説明されなかった」
「関係ないだろうが!空気よめや!!」
「ここの法は犯してないし、あなたたちにも何かしたわけでもない。文句さえ言ってない。…………それで、なにか問題ありますか?」
ほう。これまた冷静な女だ。面白いねぇ。怒りも屈辱もなんもなし、か
「問題!?大有りだよ!!お前がここにいることだよ!墜ち人がぁ!!」
「いかれた親から産まれて、いかれたやつらと育って、存在していいわけねぇだろうがよ!」
……あ?
なんだ。コレには怒りを感じるのかよ
「……あんたらほどじゃないよ。まともな親に育てられて、そこまでイカれてたらね」
「っっんな!?こ、このクソ墜ち人がぁ!!!!」
拳が振り上げられる。女の怒りは押さえきれてない
……おいおい、まじか?
それはまずいだろ
「……っっってぇ!!!!」
「な、なんだよ!あんた!!」
あー……
「墜ち人をかばうのか!?」
「おいおい、今あのひと何したよ……」
「どこから現れた?」
「なんか怖い……」
「え?かっこいいでしょ」
ひそひそひそひそと……
あー…………うるせーめんどくせー。出るんじゃなかった
「……なに?誰?」
「墜ち人が人殺したらまずいだろ」
俺は極力声を落として言った。少しだけ生意気な女の顔が変わる。ま、女はここまで。まずいのは俺も同じなんだよ
「なんだー?墜ち人をかばって……体で
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