―運命の決闘者―
[16/16]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
表示になったところを狙おうにも、他ならぬD−ENDの効果によって、バトルフェイズの機会は失われている。
「……言った筈だ、DD。僕のヒーローたちは、お前になど負けはしないと」
「なにぃ?」
しかしてエドはあくまでも冷静に、最後に残った一枚のカードを発動してみせて。
「速攻魔法《ビッグ・リターン》! 一ターンに一度と制限されたエフェクトを、もう一度発動することが出来る!」
発動されたのは速攻魔法《ビッグ・リターン》。自分フィールドのモンスターの、『一ターンに一度』という誓約がついた効果を発動する、という速攻魔法カードであり。たとえモンスター効果が無効にされていたとしても、速攻魔法《ビッグ・リターン》の効果として、一ターンに一度という誓約を無視して再度発動される。
「デュエルも、カードも、僕も。そしてD−HEROたちも進化する。亡霊にもはや居場所はない」
「…………」
効果を無効にされていたD−ENDがゆっくりと動き出すと、先程と同じように竜の息吹が灯っていく。それをボーッとした表情で見つめるDDには、もはやD−ENDのことを止めることは出来ないようだが――彼はそんな『最後のD』の姿を見て、何を思うのか。
「……消え去れDD! インビンシブル・D!」
《ダーク・シティ》の夜の帳をかき消すような、まるで太陽のような熱量が籠もった竜の息吹。それは無抵抗のままの《No.22 不乱健》に炸裂し、ただ光となって消えていった……
DD LP500→0
「エド……」
こうしてフィールドは《ダーク・シティ》から元の路地裏に戻っていき、D−ENDが消えるとともにデュエルスタジアムの電源も落ちる。辺りに広がっていた闇も消えてなくなり、対面にいた筈のデュエル相手も――まるで最初からいなかったようで。
「さようなら……もう一人の父さん……」
誰にも聞こえないような本当に小さな声で、エドは空に向かってそう呟くと。こちらに顔を見せないように、路地裏の出口に向かって歩き出していく。
「……僕は止まらない。この父さんが遺したD−HEROとともに」
一瞬後にこちらに振り向いたエドの顔は、いつも通りの余裕ぶった不敵な笑みを浮かべていて。D−HEROたちが装填されたデュエルディスクを、こちらに剣のように構えていた。
「お前ともいずれ決着をつける。……異世界でのことは、その時のデュエルで語れ」
「……ああ」
それだけ宣言するように言い放つと、エドは路地裏から早足で駆けていく。次なる仕事の時間が迫っている――
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ