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こころ
6部分:第六章
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第六章

「そうなんですね」
「そうじゃ。じゃがあ奴はドイツ生まれじゃが」
「日本と日本人の為にああしましたね」
「わかった、よくな」
 博士は強い声で言った。そのうえでだ。
 自衛隊の基地に背を向けてだ。小田切君に言った。
「では帰るとしよう」
「今日はこれで終わりですか」
「目的は果たした」
 ハルトマンの日本への思い、それを見たというのだ。
「だからじゃ。これで終わりじゃ」
「何かあっさりですね」
「帰り道に少し遊んでいこう」
 博士の遊び、それは何かというと。
「暴力団の事務所でのう」
「殺戮は行うんですか」
「時間ができたからのう。その事務所の連中は皆殺しじゃ」
「どうやって殺すんですか?」
「新しく品種改良したスズメバチを送り込む」
 スズメバチは恐ろしい。蜂の中で最も狂暴であり毒も強い。しかも何度も刺してくる。おまけに群れを為すという最悪の蜂である。
 その蜂をだ。博士はだ。
「毒を三十倍にして遅効性にしてのう。何度も刺せる能力はそのままにしたのじゃ」
「で、その大群をヤクザ屋さんの事務所にですか」
「送り込んでやる。それで遊ぶとしよう」
 こうした物騒なことを話してだ。自衛隊の基地の前を後にする博士だった。そしてその日また一つ暴力団の事務所が消えたのだった。
 戦いを終えたハルトマンは自衛官達、今の戦友達のところに戻った。その彼にだ。
 戦友達は敬礼で迎える。ハルトマンも同じ敬礼で応える。
 そしてだ。自衛官達は言うのだった。
「有り難うございます、大佐」
「よくあの戦艦を撃墜してくれました」
「それに町に落ちる時に凍らせて空中に投げてくれて」
 そこから博士が瞬間移動させた。しかし彼がそう動いたのは確かだ。
 そのことについてだ。ハルトマンはこう話した。
「あれから宇宙にあげてそこで爆破させるつもりだった」
「日本に被害が出ない様に」
「その為にですか」
「私は日本人だ」
 だからだと答えるハルトマンだった。
「そうしただけだ」
「日本人だからですか」
「そうされたというんですね」
「母国を愛することは人として自然のことだ」
 母国と言った。日本人の言い方だった。ドイツ人なら父の国と呼ぶ。
「だから当然のことだ」
「戦艦と戦って町に落とすことを防がれたのも」
「それもなのですね」
「そうだ。あくまで当然のことだ」
 本当に何でもないといった感じで言うハルトマンだった。
「そういうことだ」
「そうですか。それだけですか」
「それだけのことですか。大佐にとっては」
「何度も言うが私は日本人だ」
 このことは変わらなかった。ハルトマンの中でだ。
 彼はサイボーグらしく淡々と、機械的に言う。だがそれでもだ。
 そこには心があった。日本へ
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