四十七話:譲れぬ戦い
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火炎が舞い踊り、斬撃が空を切り裂く。地上の空で行われる二人の騎士の戦いは常人には視認できないような高次元で行われていた。
「なぜ、あなた程の騎士がこのようなことを?」
「俺は無碍の市民に手を出すほど落ちぶれてはいない。そこを通してくれれば何もしない」
「その理由が聞けない以上は局員として通すわけにはいきません」
「ふ……立場が逆なら俺もそう言っただろうな」
どこか過去を懐かしむ様に呟きゼストは薙刀のようなデバイスを振りかぶる。シグナムはそれを躱すことなく真正面から受け止める。激しく火花が飛び散り、二人の鍔迫り合いが拮抗していることを示す。
(なんでお前なんかがリインフォースなんて名乗ってるんだよ! バッテンチビのくせに!)
(リインの名前はマイスターから承ったものです! 例え初代であっても否定させないです!)
(何の苦しみも知らない温室育ちのくせにッ!)
アギトは目覚めたときから一人だった。違法の研究所で死ぬこともできずに心を摩耗してきた。そんな折にゼストとルーテシアに救われ人の温かさを知った。悲しい過去があるから何の苦労も絶望も知らないツヴァイが気に入らなかった。自分でも八つ当たりだと理解している。だが、心はそう簡単に理解してくれはしなかった。故に戦わなければならない。全力を尽くしてぶつからなければきっと分かり合えない。
(だからなんです! 初代の願いはマイスターはやての幸せ。私には世界の全てを不幸にしてでもはやてちゃんを幸せにする義務があるんですッ!!)
(なんだよ……アインスは酷い目にあってきたのに何でお前だけ幸せなんだよ)
(託された者には幸せになる責任があります。そして……あなたにも)
(あたしは……旦那の願いを叶える。今はそれ以外のことは考えない!)
ツヴァイは目覚めたときから多くの家族に囲まれていた。確かに温室育ちといえばそうなるだろう。しかし、託されたものがある。一人でないから守らなければならないものがある。意志と力を受け継いでいるからこそ幸せにならなければならない。託された主を世界で一番に幸せにする。それこそが、魔道の器リインフォースUの至上命題。邪魔をする者がいるのならばその力の全てをぶつけ打ち砕くのみ。
「アギト、落ち着け」
「リイン、お前もだ。全力でなければ斬られるのは私達だぞ」
ユニゾンデバイス同士で因縁をつけ合う二人を双方のロードが止める。そして落ち着いたのを見計らい再び斬り結び始める。ただの一振りでも当たれば即死するような剛の一撃を放つゼストに対してシグナムは卓越した技でいなし、隙を突き攻めに転じる。
騎士の年期としては古代ベルカから生きているシグナムに勝てる者は同じ守護騎士だけである。しかし、ゼストの剣が持つ重みはそれに匹敵する。一体どれほ
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