四十七話:譲れぬ戦い
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しそうやなー。おっちゃん、二人分頼むわ」
「はいよ」
目をキラキラと輝かせながら楽しむヴィータとそれに付き添いニコニコと笑うヴィータ。その後ろにはシャマル、シグナム、アインスが可憐な浴衣姿で続く。周囲の男性もそれに見惚れている者が多いが声をかけてこれる者は居ない。それもこれも、娘達に手を出そうものなら殺してやるとでも言わんばかりの鋭い視線を投げかけてくる切嗣。さらに、もしもの時は自分が止めようと決めている大型犬のザフィーラが隣にいるからだ。
「アインス、どうだい楽しんでいるかい?」
「あ、ああ、楽しんでいるよ」
「『一緒に祭りに行こう』って誘ってくれて僕も嬉しいよ」
にこやかに話しかける切嗣に対してアインスは若干苦笑いをしていた。確かに『一緒に祭りに行こう』と言った。しかし、それは“みんなで”ではなく“二人きり”という意味だったのだ。要するに勇気を出してのデートのお誘いだったわけだ。それを家族での時間と受け取られてこうして家族で夏祭りに来たわけだ。少し残念に思うのも仕方のないことだろう。
「どうした、アインス? そんな顔をして。もしや……二人きりの方が良かったのか?」
「シ、シグナム! そんなことはない、ないぞ! みんなと来れて楽しいのは本当だ!」
彼女の気持ちを察したのかからかうようにシグナムが声をかけてくる。慌てて誤魔化すように手を振って否定するアインス。確かにデートにならなかったのは少しばかり残念であるが家族とこうして過ごす時間が楽しくないはずがない。彼女は今間違いなく幸せだった。
「アインスー、ちょっと的当てやってみん?」
「わ、私がですか?」
「いや、なんか私達だけが遊ぶのも不公平やろ。大人も楽しまんと」
「そうですか……では」
少しむくれた様に頼むはやてにきゅんと心をときめかせながら銃を構える。銃など握ったこともない。だというのに握り方だけはなんとなく分かった。目についた花の髪飾りに狙いを定めて撃ってみるが当たらない。中々に難しいものだともう一度撃つが今度は掠るだけで落ちはしなかった。さらにもう一度撃つが今度は外れる。最後の一発となりどうしたものかと考えていると不意に後ろから声をかけられる。
「机と体に近づけて出来るだけ照準がぶれないように安定させて。それから引き金を引くときは力入れないで力まずに引くんだ」
「こう……かな」
切嗣からの指示通りに構えると不思議な懐かしさを感じたアインスだったが深く考えずに言われたとおりに出来るだけ力を抜き自然に引き金を引き抜く。ポンと小気味の良い音共に景品が落ちていく。店主のお見事という声が響きそこで自分が当てたことに気づく。
「やった! やりましたよ、主!」
「ようやったなぁ。かっこよかったよ、アインス」
そして、そ
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