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八神家の養父切嗣
四十七話:譲れぬ戦い
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つ。すぐ後ろから聞こえてくる物が砕ける破壊音を聞きながらなのは速度を上げる。心配がないわけではない。本当は残って共に戦いたい。だが、それは彼女の想いを踏みにじる行為だ。だから、なのははただ真っすぐに玉座に向かい飛んでいく。

「ヴィヴィオ……今、ママが行くからね…ッ」

 母と名乗る自信はなかった。今でも自分が人の親になれるという自信はない。しかし、あの子は自分をママと呼んで慕ってくれた。あの子の為に命を懸ける理由はそれだけで十分だった。例え、己の全てが失われるのだとしても愛する子を守る。人はその姿を見てこう言うだろう―――母親と。

―――立ち塞がるものは全て壊していく。

 彼女のその意志は言葉よりもなお雄弁に行動に現れていた。寄ってくる敵は全て撃ち抜き、壁は貫いていく。まるで修羅のような表情と鬼気迫る闘気は機械であるガジェットですら怯ませるような凄まじいものだった。誰も彼女を止めることはできない。仮に止めることが出来る人間がいるとするならばそれは―――

「これは随分と見目麗しいお嬢さんだ。見た目としては申し分ない」

 ―――英雄と呼ばれる類いの人間だろう。

「あなたは…? それにヴィヴィオは?」
「彼女なら後ろの玉座にいる」

 玉座の間に辿り着いたなのはの前に現れたのは紳士的な男。気品あふれる優雅な仕草でなのはに声をかけてくる。しかし、その後ろには今なお苦しみ続けるヴィヴィオの姿があり敵だということを知らせる。なのははその姿を認めた瞬間に男に向かいアクセルシューターを飛ばす。

「やれやれ、気の強い女性は怖いものだ」

 しかしシューターは一瞬にして炎に包まれ消え去ってしまう。男は全くと言ってもいいほどに動いていないにもかかわらずにだ。彼が動かしたのはステッキに添えた指の一本だけ。その動きだけで高速で動くシューターを全て撃ち落としたのだ。その高すぎる技量になのはは息を呑みレイジングハートを握りなおす。彼はただものではない。

「あなたは一体何者……いえ、何が目的ですか?」
「高町なのは、君に―――世界を平和にする手伝いを頼みたい」

 曇りなどないガラス玉のような瞳でなのはを見つめ男は何もない空間から黄金の器を取り出す。


「新たな英雄(後継者)となり世界を導いてもらいたい」













 夏祭り。子どもはその空気に浮かれ親の手を引いて走り回り屋台を回っていく。また少し大きくなれば友達と一緒に回りながら祭り価格の食べ物を慎重に値踏みし舌鼓を打ったりする。さらに年を取れば気になる異性と共に花火を見たりして甘酸っぱい夜を過ごしたりするだろう。そんな夏祭りに八神家の一同も楽しんでいた。

「はやて、はやて! 今度はあの射的やろう!」
「お、楽
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