四十七話:譲れぬ戦い
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ずさらにそれを二分する等正気の沙汰ではない。だが、一刻も早く成し遂げねばならない。
「それで、どっちに行くかなんだけど―――っ!」
「どうも、のんびり話してる暇もねえみたいだな」
空間に反響する金属の兵隊が行進する音。まるで行進曲のように一定に揃えられたそれは聞く者に威圧感を与える。ゆりかごの闇の中から現れた機械の兵士は駆動炉を守るように隊列を揃え二人の前に立ち塞がる。
「これって……」
「以前の演習中に襲撃してきたやつと同型だな」
「ひょっとしてこれがオリジナルなのかな?」
「さあな、なんだろうとあたしのすることは一つ―――ぶっ壊す!」
もう何年前になるか分からないがなのはが襲撃を受けた際にいた未確認と同じ型のガジェット。その大軍にも怖気づくことなくヴィータはグラーフアイゼンを構える。なのはも揃えるようにレイジングハートを構えようとするが、グラーフアイゼンの柄で小突かれてしまう。
「ヴィータちゃん…?」
「悪いな、なのは。ここはあたしとアイゼンの独壇場だ」
それは、ここは自分に任せて玉座に向かえということだ。確かに破壊という一点においてはヴィータとグラーフアイゼンの右に出る者は居ない。しかし、それは必ず勝てるという意味ではない。これだけの数の相手を一人で相手にするのが簡単なわけがないのだ。
「無理だよ、ヴィータちゃん!」
「……さっさとヴィヴィオのところに行ってやれ。駆動炉と違ってあいつは痛がってるからな」
今こうしている間にもヴィヴィオはその命を削りながらゆりかごを動かしている。どれだけの時間彼女が耐えられるかは分からない。しかし、苦しんでいることだけは確かだ。時間をかければかけるほどにその苦しみは上がっていく。早く行ってやらねばならない。母親であるなのはが守ってやらねばならない。
「でも……」
「あたしに出来んのは破壊だけ。ヴィヴィオのとこ行っても玉座ごとぶっ飛ばしかねねえから無理だ」
「そんなことないよ、ヴィータちゃんは…!」
「最後まで聞け。まあ、大切なものは壊したらダメだけどよ……」
彼女の手は決して壊すためだけのものではないと訂正しようとしたがカートリッジを噴出する音に阻まれる。そしてヴィータは背中を向け振り向きざまに笑ってみせる。
「別に、あれなら―――ぶっ壊しても構わねえんだよな?」
その言葉の裏に見える覚悟と気づかいに、なのはは息を呑む。一瞬、涙が出そうになるがそれは勝どきを上げるまで残しておこうと決め目をこすり自身も背を向ける。
「うん、遠慮はいらないよ。がつんと全部壊してね、ヴィータちゃん」
「ああ。任せてろ、期待には応えねえとな」
お互いにもう振り返ることはしない。ただ自分の役目だけに目を向け真っすぐに飛び立
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