第三話 マールバッハ一門へようこそ
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である。特に後ろ暗いことを企てる時には。成功すればよし、失敗しても直接召抱えているわけではないから、切り捨てて何とでも言い逃れられる。そして商人出の父上が『下情に通じた便利な道具』として汚れ仕事に駆り出されないわけがない。この俺も下僕扱いされて、『お前、マールバッハのためなら命も捨てられような?』と事がどう転んでも死しか待たない任務に片道切符で送り出される危険があるのだ。
喜ぶ両親や家の者たちの大騒ぎとは裏腹に、俺は底なし沼に沈み込んでいくかのような感覚にとらわれていた。
『はっはっはっは、獅子の軍隊よりお前さん向きの舞台にキャスティングしてやったぜえ?さあてどうするよ?小才子ちゃんよお?』
悪辣としか表現しようのない笑い声が脳裏に響く。怒りを込めて見上げると、柱時計の上に足を組み、ふんぞりかえって座った悪魔が殺意の視線を向ける俺を見下しながらひたすらに笑い続けていた。
『面白え、やってやろうじゃねえか。生きのびてやるよ。てめーの舞台の上で、最後まで生き残ってやるよ』
鼻毛を抜いてペロペロキャンディに変えたりキノコスティックに変えたりして遊んでいる悪魔を睨みつけて、俺は決心を固め、そして俺の生きる道を選び取った。
悪魔の思う壺、引き返せない道だと分かってはいたが、ここまで好き勝手されては黙ってはいられない。
かくて俺の第二の人生、薔薇と短剣、葡萄酒と毒薬に満ちた人生は幕を開けたのだった。
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