Vivid編
第八話〜蒔かれた種〜
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きない速度に乗る。
その進む先には高速で飛来する光があった。
壁や肉体を易易と抉るその光が今度こそ、ライの身体に致命傷を与えようと迫る。
高まった集中力が高速で動いているはずの景色をスローにしていく。そしてとうとう、ライとその光との距離がゼロになり、通過した。
「っ!」
だが、その光がライの体を抉ることはなかった。
光を文字通りすり抜けるようにして、超えていくライ。
そして目的地である狙撃ポイントである、ビルの屋上に足をつけた。
その瞬間、加速のための運動エネルギーがライの靴底と屋上の床を削り始める。その小さくはない音を響かせながら、ライの視界の隅に人間の姿が写った。
「アクセル」
始動キーを口にすると、未だに残っていた運動エネルギーがスコープを覗きながら驚いた様子を見せる男の方へ、ライの体を弾き出す。
「がっ!」
ほとんどぶつかる様にしてライはその男を組み敷くと、加速の勢いのために今度はその男で屋上の床を削ることになった。
「こ、のっ!?」
意識が朦朧とする中、組み敷かれていた男は身体に乗っていたライの重さが消えると同時に体を起こし抵抗しようとする。だが、それは鼻先に突きつけられたライのデバイス、蒼月のショートソードの切っ先の所為で実行することはなかった。
「…………――――子供?」
声を漏らしたのは、今度はライの方であった。
これまで凄腕のスナイパーであったと予測していた相手の正体が、ここまで接近したことで夜の暗さに関係なく視認できるようになる。
その相手の顔は線が細く、身体の肉付きも成長しきれていないアンバランスさが見え隠れしていた。
(ナナリーと同じくらい……若しくはもう少し下か?)
内心で相手の事を分析しながらも、ライは相手の得物であるライフル型のデバイスの位置を確認する為に、視線を動かし辺りを見回す。もちろん、その間も蒼月を構えたままで相手を動かせる気は全くなかったが。
動かした視界に目的のデバイスが見える。どうやら先ほどの衝突で滑ったのか二人の位置から数メートル離れており、腕を伸ばした程度で届く距離ではなかった。
「……名前は?」
少なくとも相手に抵抗の術がない事を確認したライは、傍から見れば尋問にしか見えない質問を行った。
「な、に?知らない?俺を?お前が、よりによってお前が!?」
その質問の内容が意外だったのか、そのスナイパーの少年を動揺させ、そして怒りに火をつけさせた。
「ジョシュア・ラドクリフ!俺の名前だ!この名前に聞き覚えがないか!」
怒りの感情を隠すこともなく喚くその姿はいっそ清々しいが、意識を切り替えているライはそんな事を気にすることもなかった。
だが、そんなライの思
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