Vivid編
第八話〜蒔かれた種〜
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。先程まであった無駄な思考が削ぎ落とされていく。
その思考を働かせながら、ライは油断なく構えを見せる。
そして、そよ風を感じた瞬間、前髪数本が部分的に消えるのが見えた。
「ッ!?」
咄嗟に動けたのは、意識を集中していたからか。ライは身を投げ出すように地面に倒れこむ。
裏路地の不衛生な道路を転げるのも気にせず、即座に体勢を立て直す。
そのライの肩は、端が丸くくり抜かれたように小さく抉れていた。
(今度は見えなかった?!襲撃……目的は口封じか、それともレジアスと接触したことか)
思考を働かせながら、ライは路地裏の中に何があるのか確認する。
近くに何かの施設があるのか、室外機に繋がっている物以上に鉄製のパイプが壁を蔦っていた。
(敵の攻撃は狙撃。弾丸は不可視。連射が無いのは装填時間があるからか)
近場に身を隠す場所もない事を確認すると、ライは身体に魔力を通す。
それと同時に、ライは蒼月のセンサーを起動させる。
(敵は凄腕のスナイパーか、それとも臆病者か……)
蒼月のセンサーで目的のものを見つけると、ライは迷わずそちらに跳ぶ。
身体強化で上がった脚力で数メートル上に飛ぶと、拳を叩きつけるようにして目当てのパイプをひしゃげさせる。すると、中を通っていた白い煙が勢いよく吹き出し始めた。
それに数拍遅れて、その煙を引き裂きながら不可視の弾丸がライに飛来する。
(凄腕の方か!)
パイプを殴るために滞空する一瞬を狙い撃ってきた相手の技量に焦りながらも、ライは体を捩る。今度は少し深めに首を裂いた。
少なくない量の血を首から垂れ流しながらも、ライは思考を回転させる。
(煙の裂いた軌道の延長、タイムラグ、付近の建築物、狙撃ポイントは――――)
ライの視界はある一点を捉える。その人間こそ見えないが、ライはそこにいる誰かの存在を確信した。
「捉えた。アクセル」
着地と同時に口に出した時には、そこから約五百メートル離れた地点に向かって加速していた。
(――――二、一、今!)
加速し、景色が流れる中でライは体を捻る。するとライの服が線上に裂ける。不可視の弾丸を躱す為にタイミングを計算していたライであったが、不十分であったのか身体に掠ったのだ。
「っ、次弾か」
自身の居場所を特定されたことに気付いた相手は、可視の弾丸を放ってきた。不可視の弾丸よりも連射性が上がる。
その事に歯噛みしながらも、視界に映り込むその光が単発であることを確認すると、ライは賭けに出た。
「驚けよ!」
どこか祈るようにそう口にするとライは前に進んだ。足だけでなく、身体全体を使ったバネに魔力と加速魔法と言う力が水増しされ、生身では到底至ることので
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