Vivid編
第八話〜蒔かれた種〜
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ゲイズ邸・一室
沈黙の落ちる一室。
その部屋に設置されたソファーに座り向かい合う二人は、片や頭を下げ、片や呆然としている。
そして、呆然としている方――――レジアスは二度三度と目元を指で解すと、意を決したように口を開いた。
「先と同じ言葉を使うが…………貴様、正気か?」
「冗談で下げられる程、自身の頭は軽くはないつもりです」
頭を下げていた方――――ライは、頭を上げるとそう切り返す。
ライが口にした“依頼”とは、かつてのJS事件の黒幕の一人であるレジアス・ゲイズという個人に、再び以前と同じようにミッドチルダの防衛を行う組織のトップとなれというものである。
傍から聞けば、レジアスの言うように正気を疑うような内容だ。一度失敗し、罪を犯した人物にそれを行なえというのだから。
しかし、ライの目は正気であり、本気だ。
「JS事件後、管理局は失った信用と力を取り戻すために活動を続けている。しかし、JS事件の原因を造り、そして黒幕でもあった最高評議会や貴方のことを全て隠し、事件前の状態に戻そうとするだけで改善の兆しは一切ない。組織の膿が排されてすら、現状を保つので精一杯だ」
事実、ライの言葉の多くは正鵠を射ていた。
JS事件後、確かに管理局は次元世界を管理するという看板に恥じぬほど、そして大きな組織であることを示すほどにミッドチルダの復興を急ピッチで行っていった。
だが、復興が終わると、社会的な混乱を避けるためか、「今回の事件において我々は大きな被害を受けた。だが、本当に守るべき市民に被害がなかったのは単に我ら管理局の力があったからこそである。そして、今回の事を教訓に今以上に力を生み出すのは危険である。その為、議題となっていた質量兵器の導入も見送ることにする」というような文章を、公式的な場で発表していた。――――してしまっていた
そうなれば、変わろうとしていた魔法社会は元に戻り、結局は魔導師の人口が少ない管理局は人員不足である為、より魔導師が必要な海の方に魔導師を配置する。
そうなってしまえば、後は悪循環の始まりだ。
人員不足であるにも関わらず、一方的に増え続ける次元世界群。そして、それに比例するように海はまた人員を欲し、限られた広さであるミッドチルダに配備されるはずの陸の人員を割くことで人員を確保し、また海は手を広げていく。自分たちの足元がどれだけ不安定になっていくのかも分からずに。
「正直に言ってしまえば、管理局がどうなろうと僕は知ったことではないです。だけど、管理局がどうにかなることで僕にとって都合の悪いことが起こるのは気に入らない」
これまでの会話の中で恐らく、ライの本心に一番近い言葉が漏れる。
それを聞いたレジアスは、もう一度質問を口にする。
「
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