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第十六話 天網恢恢疎にして漏・・・れちゃったのです。
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う」

 グリンメルスハウゼン子爵閣下が笑う。この爺様も食えない人だ。今のが本心かどうかもわからないし。

「でもね、このまま黙ってリヒテンラーデ侯爵やバウムガルデン公爵が見ていますでしょうかね」
「といいますと?」
「ケスラー、バウムガルデン公爵はカロリーネ皇女殿下を皇帝陛下のおそばに置いたそうじゃないの。そしてリヒテンラーデ侯爵はそのバウムガルデン公爵と手を組んでいるわ。その二人にとって今度のことは大きな打撃よ。今でさえそうなのに皇女殿下の罪が確定してしまったら、にっちもさっちもいかなくなるじゃない。私だったら皇女殿下を誘拐してどっかの星域に匿っちゃうわ。罪が固まる前に決行すればどっちつかずになるもの。それにね、今宮殿を警備しているのはブラウンシュヴァイク、リッテンハイムの部下たちでしょ。そうすれば彼らにだって責任問題はあるわ。つまり・・・・」
「痛み分けを狙う、ということじゃな」

 流石はグリンメルスハウゼン子爵閣下、そういうことですよ。ケスラーはなるほどとうなずいている。その効果が波及する様を想像していたんでしょう。ええその通りよ。

「それにしてもアレーナ様はよくそのようなことを考えつかれますな。」
「多少性格がひねくれてるとこうなっちゃうのね」
「ほっほっほ。それは儂に対する当てこすりかな」
「う、そういうことじゃないんですが」
「まぁよいわ。して、ケスラー。今の話を聞いてどうするな?」

 ケスラーはちょっと考えていたが、すぐに顔を上げていった。

「何もなさらぬ方がよろしかろうと存じます」

 流石ケスラー!!そうよ。それが一番いいの。何故って下手に教えるとブラウンシュヴァイク、リッテンハイムに肩入れすることになるもの。そうすれば彼らの勢力を助長しちゃうだけ。今のままだと双方痛み分けでたいした勢力の進展もないわけだし。現状維持若しくはちょこっとバウムガルデン・リヒテンラーデ枢軸体制にひびが入るくらいだもの。それがいいの。

「そうじゃの。下手に動けば要らぬ火の粉をかぶることになるの。ここはひとつ様子を見るとしようか」

 そういうとグリンメルスハウゼン子爵はこっくりこっくりとうとうとしだした。そういう姿はまるで平和ボケした老人だけれどね。



帝国歴480年7月6日深夜―。
ノイエ・サンスーシ付近噴水公園
この日は再建帝オトフリート2世の即位した日である。先帝の浪費を阻止したというそれだけで名君とされたオトフリート2世だったが、その即位した日は帝国再生の記念日として祝日になっていた。このため、宮中では宴が催され、警備にもどこか弛緩が生じている。そのノイエ・サンスーシからほど近い公園の噴水付近に三人の人影が集まっていた。

「すまないなファーレンハイト少佐。こんなことに巻き込
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