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第十六話 天網恢恢疎にして漏・・・れちゃったのです。
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テンラーデ侯爵等の主要政務貴族に反発する貴族連合が台頭してきており、リヒテンラーデ侯爵やフリードリヒ4世もその声を無視することができなくなってきたのである。
ファーレンハイト等の侍従武官、アレーナたち侍女も遠ざけられ、カロリーネ皇女殿下の顔を見ることも接触もできない日々が続いていた。それが3か月もである。
バウムガルデン邸 私室
■ アルフレート・ミハイル・フォン・バウムガルデン
カロリーネ皇女殿下が幽閉された。ご出生のことで、カロリーネ皇女殿下が実は先々代皇帝のオトフリート4世の血を引いていない、つまりは皇族ではないというのだ。バカバカしいが、これも血統を大事にする帝国ならではの事なのだろう。
宮内尚書である父上は、日々リヒテンラーデ侯爵のもとに通って協議されている。リヒテンラーデ侯爵と父上の枢軸体制にとって、カロリーネ皇女殿下のご出生の打撃は小さなものではない。ことに宮中を司る宮内尚書の責任問題にまで発展しかねない。
どうするか?俺はカロリーネ皇女殿下との約束がある。「私を一人にしないで。」とおっしゃっていたカロリーネ皇女殿下に協力すると誓ったのだ。助けないわけにはいかない。だが、どうすればいい?
一つ考えられるのは、カロリーネ皇女殿下を拉致して自分の領内に引きこもってしまうことだ。自分の領内の「荘園」は治外法権、皇帝陛下と言えどもおいそれとは立ち入りできない。しらを切り続ければいつかは下火になるかもしれない。
だが、そんなことをすれば真っ先に疑いは父上、リヒテンラーデ侯爵にかかるかもしれない。そうなればこちらは終わりだ。
皇女を誘拐するか?それとも――。
そう考えていると、ドアがノックされた。顔を上げ、どうぞと答えると、シュタインメッツが入ってきた。そばに父上がいるのにはおどろいた。
「父上!」
「アルフレート、心配をかけたな」
だが、そういう父上の顔はよくない。そばにいるシュタインメッツも浮かぬ顔つきだ。
「何か、ありましたか?」
「うむ。座れ。座って儂の話すことをしっかりと聞くのだ」
ぞっとなった。何かとても悪い予感がする。それが何なのかと言われるとよくわからないが。
「実はな、ブラウンシュヴァイク、リッテンハイムからの圧力が強く、とてもカロリーネ皇女殿下を庇い立てすることはできなくなってきたのだ。元々カロリーネ皇女殿下を皇帝陛下のおそばに置こうと言い出したのは、私なのだ。そのことを知る両者が私の失脚を画策しておるのだ」
やはりそうか。俺は唇をかんだ。
「さらに、カロリーネ皇女殿下について、ご出生のことでの反証を示すことのできる証拠は今のところ見つかっておらん。先々代オトフリート4世の崩御より11か月後にお生まれになったというのは紛れもな
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