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こころ
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第一章

                          こころ
 天本破天荒博士はマッドサイエンティストだ。しかも人類史上最悪の。
 その博士がだ。今強敵と戦っていた。その相手はというと。
「自衛隊におるとはのう」
「ああ、ハルトマン大佐ですね」
「そうじゃ、元々はドイツ軍におったのじゃ」
 そうだったとだ。博士は助手の小田切君に話すのである。
 研究所でも白いタキシードに黒マントだ。その如何にもという外見で言うのである。
「それが何故か自衛隊におるのじゃ」
「自衛官なのに何故大佐なんでしょうか」
 小田切君はまずそのことに突っ込みを入れた。
「自衛隊なら一佐ですよね」
「しかもドイツ陸軍の軍服じゃ」
「第二次世界大戦の頃の」
 自衛隊の制服も着ていないのだ。当時のあのジャーマングレーの軍服を着用しているのだ。その彼についてだ。博士は言うのである。
「あの頃はわしはドイツ軍とも戦っておった」
「ナチス=ドイツとですか?」
「強い相手と戦ってこそあらゆることがわかるのじゃ」
「それで戦ってたんですか」
「日本軍ともな」
 彼等とはまさに宿敵関係だった。帝国海軍とも何度も戦っているのがこの博士だ。
 そしてその頃のことからだ。今言うのだった。
「そのドイツ軍でサイボーグに改造されてああなったのじゃがな」
「そうらしいですね」
「とにかく何故か自衛隊におる」
 その辺りの事情についてこう話す博士だった。
「どうも当時の自衛隊の書類手続き上の間違いで入ったらしいがのう」
「ドイツ軍人なのに自衛隊にですか」
「たまたま日本に来ておって日本国籍を習得したところじゃ」
「元軍人ってことで、ですか」
「自衛隊に入隊となったらしい」
 随分いい加減な話だった。有り得ないまでに。
「そうなったのじゃよ」
「ううん、滅茶苦茶な理由ですね」
「しかし何はともあれわしの前に立ちはだかっておる」
 日本の安全を守る自衛官としてだ。そうしてきているのだ。
「それならばじゃ」
「戦っているんですね、それで」
「そういうことじゃよ。では今回はじゃ」
 早速だ。博士はだ。
 懐からリモコンを出してきた。それにはだった。
 色々とボタンがあった。小田切君はそのリモコンを見て言う。
「今度はロボットですか」
「うむ、あ奴に対抗する為に造ったのじゃ」
「また破壊兵器なんですね」
「ついでに何かとわしの邪魔をする自衛隊も懲らしめる」
 博士にとっては自衛隊もそうした存在だった。
「わしの恐ろしさを思い知らせてやるわ」
「恐ろしさっていうか迷惑さはあちらも知っていると思いますよ」
「わしは迷惑なのか」
「世界で一番迷惑な人だと思いますよ」
「迷惑か。詰まらんな」
 その評価についてはいささ
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