外伝〜オーバルギア開発計画〜中篇(前半)
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で、いいのかなぁ………レンちゃん。」
その後、ティータはエリカ達の所に向かい、手伝いを申し出た所、ある用事――帰国書類をマードックに作るよう頼まれ、いつもマードックが通っている七耀教会に向かった。
〜ツァイス市・七耀教会〜
ティータが教会に到着すると、そこではマードックが強く祈りをささげていた。
「………工房長さん?」
マードックに近づいたティータは首を傾げて声をかけた。
「ああ、エイドスよ。無力な我等を守りたまえ……!………?やあ、ティータ君。どうしたのかね?」
強く祈りを捧げていたマードックはティータに気づいて尋ねたが、ティータが答える前に推測を始めた。
「も、もしや実験に失敗して有毒ガスが発生したのかね!?そ、それとも今度は大爆発して工房の半分が吹き飛んだとか………」
「あ、あの………ごめんなさい、工房長さん。お祖父ちゃんもお母さんもいつも迷惑かけちゃって……でも大丈夫です。今日はまだ何も……」
「そ、そうか………よかった………女神への祈りが通じたのかもしれない。明日の分もした後、アーライナやイーリュンにも祈っておかないと……」
ティータの話を聞いたマードックは心の底から安堵の溜息を吐いた後、また強く祈り始めた。
「あ、あの工房長さん。……実はお願いがあるんですけど……」
「お願い、かね……?」
そしてティータは事情を説明し、両親の帰国書類を用意してくれるよう頼んだ。
「なるほど、今回は空を飛んで帰って来たのか。それではティータ君が驚くのも無理はない……」
事情を聞いたマードックは微笑みながら頷いたが
「み………密入国ッ…………!?」
「あ、そうかも………」
ある事に気付き、顔を青褪めさせ、ティータはマードックの言葉を聞いて気付いた。
「はあぁ、参ったよ。急いで認可証を提出しないと……ティータ君、私の代わりにお祈りしておいてくれないか。今回の発明が、何事もなく終わりますように……とね!」
「あ、はい。………わかりました。」
「よ、よろしく頼むよ!」
そしてマードックは急いでどこかに向かった。
「えっと………(お母さんとお祖父ちゃんが無茶しませんように………)」
マードックを見送ったティータは振り返って祈った。祈り終わったティータは不安げな表情をした。
(……でも、わたしに何ができるんだろう……エステルお姉ちゃんやミントちゃん達みたいに強くないのに………レンちゃんの悲しい過去やわたし達が”四輪の塔”に行っている時や”結社”に襲われた王都に行っている間に人を一杯殺した事を知った時だって、何も言ってあげられなかった………わたしは……本当にレンちゃんの事をわかっているのかな……?)
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