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英雄伝説〜光と闇の軌跡〜(SC篇)
外伝〜旅立ちの朝〜
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カシウスの説明を聞いたエステルは胸を張って頷き、そして考え込んだ後、ある名前を思いついて言った。

「……”アドル”っていうのはどうかしら?」

「”アドル”……さてはお前が幼い頃から読み続けた小説―――”赤髪の冒険家の冒険日誌”の主人公……”アドル・クリスティン”だな?なぜ、その名前にしようと思った?」

「えへへ……そうよ。この子はなんたって”剣聖”って言われている父さんの息子で、あたし達の弟なんだから!これから大陸中を廻るあたし達みたいになってほしいっていう意味と、父さんみたいに凄い剣士になって欲しいていう意味、そして………絶対に諦めない心を持ってほしいっていう意味を込めてその名前にしたのよ。小説の主人公――”アドル”も凄い剣士で、何があっても絶対に諦めない人だし。」

カシウスの言葉を聞いたエステルは恥ずかしそうに笑いながら答えた。

「わあ……!すっごく素敵な名前だね!」

「ハハ、エステルらしいね。……それで2人ともどうする?」

エステルの説明を聞いたミントは表情を輝かせ、ヨシュアは苦笑した後、カシウスとレナを見て尋ねた。

「私は賛成よ。何てったってこの子のお姉さんが考えた名前なんだから。」

「……そこまで考えてその名にするのなら、俺も賛成だ。今日からこの子は”アドル・ブライト”だな。」

ヨシュアに尋ねられたレナは微笑みながら頷き、カシウスは口元に笑みを浮かべた後、赤ん坊――アドル・ブライトを優しい表情で見つめた。そして数日後、ついにエステル達が旅立つ時が来て、エステル達は空港でロレント市の知人達に見送られようとしていた。



〜ロレント発着所〜



「……皆さん、えっと………お見送り、ありがとう。こんなに大勢で来てくれてちょっとビックリしちゃった。それで、突然の話なんだけど……あたしとヨシュア、ミントは外国に行くことになりました。」

「3人で旅をしながら、各地の遊撃士の仕事をこなそうと思っています。………多分、とても長い旅になります。大陸のほとんどの地方を回ることになると思うので。」

「でも、いつか絶対に戻って来るつもりです!」

自分達を見送ろうとするカシウスやレナ、シェラザード、そして大勢のロレント市民達にエステル達はそれぞれ言った。

「うん……成長した姿を見せられるように向こうで精一杯やってくるわ。」

ミントの言葉に頷いたエステルの言葉を聞いた市民達は大きな拍手を送った。

「はあ、しかしお前らときたら、俺達に相談も無しに決めるとは………」

「フフ、いいじゃない、あなた。3人とも、成長した証拠ですよ。」

一方カシウスは呆れた表情で溜息を吐き、アドルを抱いているレナは微笑んだ。

「あら、そうだったんですか?」


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